第15話 最神之王・そして次の場所へ
私はいま、伝説を見ている。伝説とはとある昔にあった戦争巷では最悪戦争ともいわれているね。
その最悪戦争を少しだけ教えるね。
「レイラさん……レイラさん……おき……て!」
誰かが私を呼んでいる……。その声は風の流れで流されていくかのような軽さと可愛さがあった。
どうやら私は寝ていたみたい――。
「起きてください!。伝説が今目の前に居ます!」
「――伝説?――」
「はい!」
「そんなわけ……」
「おそらくですけど……ルクス君だと思われます!」
「え!ルクス!!」
私はその名を聞いて飛び起きた。あのルクスが記憶を取り戻した?そんな奇跡に私の頭は処理に追いついていけなかった。私が倒れていた経緯は後にシュリちゃんから告げられた。
私はリブルヘルンの全属性の霧を僅かに浴びただけで意識が朦朧になり倒れたらしい。シュリが倒れなかったのは私がとっさに出した結界のおかげだとか……。
「よかった……」
私はそうつぶやいた。
私たちの上空から聞こえる凄まじい斬撃音はライトギニア王国の民すべてが恐怖感を覚える音、そんな音だった。
上空にはルクスらしき人物とリブルヘルンらしき人物がいた。ルクスはリブルヘルンに軽めの一撃を入れる。その一撃は山をも砕き草木は塵となりリブルヘルンの元へ向かう。
リブルヘルンは多重結界を展開したがその展開した結界は無意味と化する。どうやらこの戦いはリブルヘルンに勝ち目がないらしい。そうレイラ達は思った。
ライトギニア王国の周辺はたちまち赤黒い霧が包み込みルクスはそれと同時に豹変した。
ルクスの髪はたちまち黒の髪に赤色が混じった色になり、目の色が赤色から中心が金色へと変化した。それを近くで見たリブルヘルンの表情には苦いものがあった。
「お前は強いのは前から知っていたことだが……お前があの生きる伝説と言われたこの世で初めて
そう聞かれたルクスは顔を下に向けながらゆっくりと声を発する。
「……だからどうした?。俺が神聖で不満か?」
「お前!。まぁ良い、たとえ相手が神聖級だから逃げるとか言う手段はこれっぽっちも無い。あの方が居る限りは私たちは安泰なのさ!」
ルクスはそう言ったリブルヘルンの顔を見つつ片手を振り上げた。
「あっそ、それがどうした」
「《
少し焦りつつ唱えたリブルヘルンの魔法はルクスが攻撃を仕掛ける間に即座にルクスの目の前に壁が展開された。
「ははは。どうだ!お前の斬撃は私には届いていないよ」
「え?。お前感覚も鈍っていたんだ」
それを聞いたリブルヘルンは自身の腕を見た。そこには片腕が体からなくなった自身の姿が見えた。
「お前俺の腕はどこ行った!」
「目も悪くなったんだ……」
次々とルクスから言われる悪くなった宣言に少しリブルヘルンが焦りだした。肝心のリブルヘルンの腕はもうルクスの手に渡っていた。
それを地上で見ていたレイラとシュリは周りに敵がいないのにも関わらず、いつルクスが腕を斬り奪ったのか二人にも分からなかった。その光景を見てボソッとレイラがつぶやく。
「ルクスはまだあんなものじゃない……」
シュリはレイラの発言で目が飛び出そうになる。シュリは生きる伝説と言われたルクスの真の強さを知りたいと思い、レイラに聞こうとしたのだがレイラは一向に教えてくれない。
どのみちレイラとルクスはこの国を後にするだろう。そう思ったシュリは次あった時に真の力を教えてもらおうと心の中で思った。
「お前弱いな……」
「この俺が弱いだと、なめたことを!」
「じゃあ俺の攻撃受けてみろよ……《
冷酷斬りはどの冒険者でも一番最初に覚えることができる
そんなに弱い斬撃をリブルヘルンに効くはずがないと思ったのだろう。リブルヘルン自身いつもより多少多い多重結界で守ろうとするが。その斬撃はまるで別の物だった。数十枚ある最高硬度の結界を豆腐を切るかのようにたやすく切って見せたのだ。
「へぇーこんなの防げないの?」
「うるさいうるさいうるさい!。もうこの一撃で終わらせる……私が持つ最大火力の
その危険さや破壊力を全て見切ったルクスは直ちにすべての国民を一か所に転送させて、ルクスの結界を張りルクス自身も自分が持つ最大の
「哀れだな……《
レイラ達の目には赤黒い一本の太い線と、一方リブルヘルンが放ったここのライトギニア王国の王都ぐらいの大きさの青い球体が国民の頭上で重なり合った。この二つの技の破壊力はすさまじいものだった。全てが吹き飛び一個の国が滅びた。それと同時にその衝撃に耐えきれなかったリブルヘルンも消滅した。
全ての結界が晴れてルクスは元の美少年に戻り上空から落ちてきた。レイラはルクスをキャッチして一旦地面に寝かした。
一時間が経過しただろう、ルクスは目を覚まして頭を抱える。レイラはルクスに何が起こったか確認を取るがルクスは何かを忘れたような反応をする。
どうやらルクスはあの時の記憶が無いらしい。だがたった一つ覚えていたことがあった。
「二人とも全て忘れているけど一つだけ覚えてるよ……」
『なに!!』
「リブルヘリュンだったけな?」
『リブルヘルンだよ!!』
「そうそれ!。なんかあの方が居る限り安泰だ……。って言っていたけど」
「あの方って誰なんだろ?」
レイラは悩みこんだがそのあの方が思い出せずにいた。レイラが建てた憶測だが、おそらく最悪戦争前に生きていた奴だろう。
「ねぇ、ルクス!。次はどこ行きたい?」
「俺はどこでも……」
「レイラさん!。ここから南の方にあるサリエス教国はどうですか?」
「あそこか……。ルクスがあそこに行って大丈夫かな?」
「レイラさんがついて入れば大丈夫ですよ!」
「なら良いかぁー。それは置いといてシュリちゃんはどうするの?。もしよければシュリちゃんも私たちと一緒に来ない?」
ここでお別れだろうと思っていたのだろうシュリはそんなレイラの提案に大きくうなずいた。
サリエス教国……
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