「明日また会えたら」――そんな言葉を残した相手のことが頭から離れず、感情の昂るままに深夜の電話をかけた主人公。
しかし、呼び出し音の先で電話に出たのは、彼ではなく「うちの人に何かご用事ですか?」と冷たく言い放つ見知らぬ女性でした。
甘い恋の予感から一転、一瞬にして見えない壁に阻まれ、暗闇の中に突き落とされる主人公の絶望が、研ぎ澄まされた短い言葉で鮮烈に描き出されます。
本作の凄まじいところは、なんといっても「無駄な説明を一切省いた圧倒的な没入感と余韻」です!
相手がどんな人物で、二人の間に何があったのか。
背景が詳細に語られないからこそ、読者は主人公の行き場のない感情と、受話器越しの女性の氷のような声のギャップにリアルな恐ろしさと胸の痛みを感じます。
ただの鉄の塊と化したスマホを握りしめ、暗闇の中で立ち尽くす主人公の姿を想像するだけで、息が詰まるような切なさと衝撃を味わえるはず。
たった数分で読める短い文章の中に、ドラマチックな感情の急降下が詰め込まれた珠玉のショートショート。
心を激しく揺さぶられたい方に全力でおすすめしたい一作です!