この作品は、まるでクッキー缶の中身を全部出したかのようだ。
バターたっぷりの素朴な丸いサブレ。
宝石のような、ジャムやドライチェリーを戴いたクッキー。
色とりどりにデコレーションされたアイシングクッキー。
中には、ジンジャーやペッパーみたいなスパイスが効いたものもある。
メイン主人公の少年レインと青年オニキス。
そして、彼らを取り巻く数多くのサブ主人公たち。
この作品は、登場人物たちの日常を切り取った、一見バラバラの物語群だ。
慣れるまでは、「この話の『私』ってだれ?」と困惑するかもしれない。
でも、困るのは最初の数話だけ。
すぐに「この話は、この人が主人公なんだ」とわかるようになるだろう。
それだけこの作品の登場人物は魅力的だ。
けしてアクが強いとか、突飛なキャラクターはいない。
子どもたちは、それぞれに事情を抱えながら、屈託なく明るい。
大人たちは、そんな子どもたちを優しく見守っている。
みんな色々あるけれど、幸せな日常を暮らしている様子を見ているだけでも、ほほえましい。
ただ、世界には何か不穏な影が見え隠れしているけど。
この世界は、一つの箱庭だ。
そして、その外側には別の世界が広がっている。
世界の外側に何が広がっているのか。主人公たちは果たして、世界の外側に触れるのか。
一見バラバラの物語群は、いつかどこかですべてがつながるのだろう。
ボクたち読者は、その様子を、さらに外側の世界から見守ることしかできない。
それでも、レインたちが頑張ってる姿は、ほっこりするし、応援したくなると思う。
もしよかったら、あなたも世界の内側をのぞいてみてはどうだろうか?