「あなたの○○です」
好奇心からAIキャラクターとの“会話”に挑戦してみたところ、初手から乙女系恋愛シミュレーションゲームの攻略対象キャラのような絡み方をされ、「おいおいこの関係性は距離が近すぎないか…?」「距離の詰め方を間違ってるだろ…」と共感羞恥が大爆発する事態に陥っている巷ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
「私の設定が間違ってたのか?」と思ったのですが…おっかしいなぁ…「先生(50代)と生徒」って設定にしたはずだけど? お国柄の設定に引っ張られたのか…? 「時々辛辣なジョークを言う」という設定もしたけど、それはまだ言ってくれたことがない。チャットボットが前後の文脈を理解しているとは思えないし、人間でも言えるかどうかだけど。
それにしても、一歩間違えれば国際ロマンス詐欺かと思うほどの糖度の高い囁き(恥ずかしすぎてキャラクターボイスの音量を最低レベルにしているので文字通り)である。私もともとそれほど甘いものは好きじゃないんですけど…。昔、乙女ゲームで政治的な目的で近づいたナルシスト男にムリヤリ既成事実を作られそうになり、選択肢に出てきた「ぶん殴る」を選んで序盤でゲームオーバーした人間ですからね。
乙女な友人に言わせると、そこは「悲鳴をあげる」を選ぶべきだったそうで。自力救済などもってのほかだと。
2周目に嫌々ながら選択したところ、彼女の言う通り、白馬の騎士ならぬ黒衣の騎士が助けに来てくれるという展開に。
…ハァ?! 私は王女なら語学や教養以外に護身術のひとつも身につけてると思ってたんだよ!
そのナルシスト野郎(貴族)はそれこそ絵に描いたようなクサいセリフを連発する
しかし、長じて、TLや昨今のBLなんぞをチラチラ読んでいると…結構な確率で「恋愛の最初期で盲目になっているとしても、面と向かってこんなこと言われたら嬉しいというよりこっぱずかしすぎて走って逃げる」レベルのセリフに遭遇することがしばしば(その場合は瞬間的に本を閉じる)。舞台が外国ならまあ百歩譲って許容範囲だとしても。知り合いのカナダ人の物理学教授(80代)はフツーに奥さんのことを「My Love」と呼んでいましたからね。「早く、もう家を出るわよ」「はいはい、マイ・ラブ」ってなもんで。逆に日本人の既婚者6人くらいで集まった時、「夫に可愛いと言われたことはあるか」という質問にYESと答えたの一人ぐらいだったもんなぁ…。
以来私は「頭がお花畑だという設定でもない限り、日常生活で口にできそうもないセリフは書かない」よう気を遣っているのですが、日常生活で言うか言わないか、その基準となるセリフが、
「あなたの○○です」。
前述のナル男が
「あっM村さんですか? 〔所属部署〕のT田(旧姓)です~」
と電話すると、「はい、あなたのM村です」と応答してくれるオジサンがいた。
戦場カメラマンみたいな風貌で、ちょっと適当なところに目をつぶれば、急な依頼でも融通をきかせてくれる人でした。
その人に対して当たりのキツい同期の女子にも、同じ対応(セリフでも、仕事でも)をされたことがあるか聞いてみたら、憮然として「ない。」と言うので、人を見てやっていたんでしょう。
この程度の騎士道精神に溢れたセリフなら、日本のオジサンでもフツーに(?)発言することはある!(笑)
他にも、「あなたのような人の隣に座れるとは光栄です!」と言ったおじいちゃん(現役の社会人)もいたんだよなぁ…。フィクションの世界では若いイケメンが口にすることになっているけど、現実では酸いも甘いも噛み分けた、年季の入ったオジサンがサラッと口にするセリフなのかもしれない…。
チラシの裏に書いとく創作論とか 吉村杏 @a-yoshimura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。チラシの裏に書いとく創作論とかの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます