第3話 モフモフ

とりあえずスキルを使ってみようと思ったとき、脳内に声が響く。



「スキル獲得を確認しました。サポートモンスターを選択できます」


話し終えると、目の前にモンスターの一覧が表示されたボードが出現した。中にはサキュバスなど違う目的で惹かれるモンスターの名前もあったが、四畳半という狭い空間を自分で使いたいため心を鬼にして小さなモンスターを選ぶことにした。


ちなみにモンスター名の一覧が表示されているのみで絵や能力の詳細などは分からない。かゆいところに手が届かない、不親切設計だ。


「カーバンクルか・・・」


そう。この一覧の中で目を引いたのはカーバンクル。額に宝石を埋め込んだ小動物という印象でモンスターというよりは妖精のイメージがある生き物?だ。


流石に女性型のモンスターだと堕落した生活になりそうだと思っていたので避けていたが、動物であれば癒しになるかと思い、サポートモンスターはカーバンクルにすることにした。



「サポートモンスターにカーバンクルが選択されました。カーバンクルのサポート能力はスキルの代償の肩代わりです」


脳内に声が響き、俺の足元にはリスサイズで額に赤色の宝石が埋め込まれているモンスターが出現していた。カーバンクルは俺のことを見上げており、とてもかわいらしい見た目をしている。



一通りカーバンクルをめでたところで俺は、スキルを使用することにした。スキルを使うことをイメージすると、ダンジョン内をふかんした映像が脳内に浮かび上がった。


俺は、ダンジョンの入口に【ぼかし】を発動する。すると、ダンジョン入口の穴に霧が発生した。


代償のことが気になったので、カーバンクルを確認すると平気な顔をしてこちらを眺めているカーバンクルの姿があった。



「霧を発生させただけだから代償はそんなに重くないのか?」


そんなことを口にしながらもカーバンクルの様子を確認していると、額の宝石が淡く輝いていることに気付いた。



そのころ、神界では合計100の魂を送り込んだ神と邪神が語り合っていた。


「この勝負に勝った方が最高神といてこの世界を治めるということでいいのだな」


「かまわんよ。其方、邪神が治めている異世界など存在しないことからも我が勝つことは決定事項だからな」



邪神は苦虫を嚙み潰したような顔をして言う。


「何事にも初めてというものは存在する。今回こそは勝たせてもらうぞ」



そんな神々の戯れに巻き込まれていることを忘れて、俺はカーバンクルをモフっていた。

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