第82話:単身突貫ケモノ壊滅RTA
ケモノ狩りの組織、辺獄衆の本拠地にてそこには五人の大人が集まっていた。
「全員集合って久しぶりね~皆暇なのかしら?」
継ぎ接ぎだらけの死体枕に体を埋める一人の蒼い髪をした女性がそう言って、周りを茶化すように笑う。
「
「え~でも可愛いでしょう? このこ最近縫い合わせたばっかなの」
「でもじゃないですよ……それより今日は何の集まりなんですか
いかにも苦労してそうな目元に隈を残したYシャツ姿の男は、疲れたように自分で蘭と呼んだ女性に注意してからこの組織を実質束ねている彩錦にそう聞いた。
「えっと、あの十六夜刃君が目覚めたからその報告と紹介かな?」
「あー目覚めたんですねあのガキ……それで仲間に出来たんすか? あの氷の被害分のツケもあるし出来れば仲間になってほしいんですが」
「凄かったわよねぇ、どこに入れても全部凍らせるから専用の術を組む必要があったもの~」
そこで彼等が思い出すのは悉くを凍らせて何度も組織の一室を駄目にした刃のこと。一年ほど前まで彼の放つ冷気のせいで部屋は凍りに凍り、割と大変なことになっていたことで頭を痛める日々を過ごしていた。
「……仲間にはなったよ? それも即決で」
「私達の目的に共感したんじゃ無い? 話聞く限りとても強いんでしょう?」
「そうだったらいいんだけどねぇ……なんかよく分からない子で」
「……大丈夫なんですか? 暦のスパイとかじゃ」
「そこは大丈夫だと思うよ、嘘だけはついてなかったし」
「……変なガキっすね。それでその件のガキは?」
「あ、そうだったね……黄泉津連れてきていいよ」
そう彩錦が言えば、この部屋に入ってくるのは一人の少女。
少し楽しそうな顔をしながらも入室した彼女は一人であり、どう見ても刃を連れていない。
「あれ、刃君は?」
「『推しの過剰摂取で死にそうだから』って言ってどっかに飛び出していったよ」
「…………それ逃げてません?」
「そもそも推しの過剰摂取って何かしらね~」
「ちゃんと裏切り防止の敵意を見せたら死ぬ術はかけておいたからバッチリ。あ、それと『埋め合わせに近くのケモノの集落潰してくる』って」
「えぇ本当になんなんだろうね……変な子過ぎない?」
――――――
――――
――
眼前に広がるのはどこまでも続く巨大な森。
中からは無数……という言葉が甘く感じる程のケモノの気配を感じる。
「うわぁ……どこだここって思ってたけど、北欧編の神狼の森じゃん」
記憶を探って思い出すのは、剣達が海外へと出向きそこで戦った
「とりあえずケモノの気配を追ったのはいいだけど、これどうしようか?」
「とりあえず狩ったらいいじゃないかしら刃? どうせ信用されてないんだから、成果は大事よ」
「それはそうだけど、未来的に?」
「今更じゃ無い?」
「それもそっか――じゃあ、とりあえず突撃で」
「くははっ今更だがぶっ飛びすぎだろ刃!」
なんかいつものように現れた神綺に加えて飛び出した瞬間に火雷が出てきた気がしたが、気にしてる余裕もないので無視して森の中に突っ込んだ。
森に侵入した瞬間に溢れてくるのは大量の霧。
感知能力が無ければ無限に迷い続けてしまうという効果を持ったそれを俺は――。
「大本絶てば楽だよな【氷剣無尽】」
百を超える氷剣を生み出して、周りの森林を破壊する事で霧の発生を止めて更に奥に進んでいった。
「えっと進んだ距離的に今は二ノ森か?」
この巨大な神狼の森は、一から六ノ森に別れておりその各所に名を持っているケモノ人達がいる。それまで本編に登場してなかったケモノ人だが、日本編でケモノ人が出現してきたあとに登場した場所だからかこの神狼の森では一気にネームドキャラが増えたのを覚えている。
「二ノ森にいるのはドラウグの大群だったよな?」
森の中を埋め尽くす人の死体から派生したケモノ。
邪魔なそれらを凍って斬りながらも進んでいれば、巨大な死体の塊が目の前に現れて……俺に襲いかかってきた。
「うおでっか。まぁいいや、これが出たってことは――」
「き、君――あ、暴れすぎ!」
「出たな陰キャリッチ!」
「陰キャ!? 言うに事欠いて開口一番陰キャは酷くない!?」
見るからに陰気な雰囲気を漂わせているのは黒髪の女性。
骨で出来た杖で体を支えながらも巨大な死塊の上に乗る彼女はちゃんと律儀に突っ込んでくれる。
「優しく殺してあげようと思ったのに……いいや、死んじゃえ」
周囲のドラウグの大群と彼女の操る死塊が同時に襲いかかっている圧倒的な敵の質量とその際に発する瘴気故に常人ならすぐに殺されてしまうこの攻撃だが……。
「俺には悪手だぞ? 凍れ」
俺は冷気を解放して周りの全てを凍らせることで事なきを得て、そのまま陰キャリッチとファンに親しまれている不死王に突貫した。
「――ふぁ!? え、逃げていいかな?」
「駄目だお前はここで狩る」
こいつが人間世界に齎した被害を考えると情状酌量の余地などないのですぐにカルに越したことは無い。
「といわけで終われ」
「たっ助けてフレース君!」
「我には偉大なフレースヴェルグと言う名前があるのだぞ!」
彼女に剣を届かせる瞬間に、感じるのは突風。
それは俺を吹き飛ばすのには十分で、森から飛ばされてしまった。
「あ、そういえばそんなのいたわ」
それだけ最後に言葉を残し……俺は神狼の森から数キロぶっ飛んだ。
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闇堕ち転生~転生先が主人公だと思ったら闇堕ちする方の双子の兄でしたw~ 鬼怒藍落 @tawasigurimu
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