星屑のくすり

星屑を砕いてつくった薬でなんでも治るという


甘いささやきに

おおくの人々は盲目にひざまずいた


指先に触れる冷たいかがやき


小指の先くらいの

ほんのひと匙で

熱病は去り

古傷は癒え

絶望は消える


だけども

心の奥底に棲みついた呪いは決して治らなかった


それでも人々は求めた

「光のかけらを、もう一粒」


星屑のくすりをめぐって

いさかいが止まなくなった


なにを欲しているのか

分からなくなるまで

たたかいは続いた




そして跡形もなくすべてが消え去った

星屑のかけらだけがその星に残った

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