第185話

『みんな~、メリークリスマス! 今日は待ちに待ったクリスマスですよ~、豪華メンバーで公式配信、しかもオフライン!』


 という撫子ちゃんのかけ声とともにSunLive.の公式クリスマス配信は幕を開けた。メンバーは私、香織、凪ちゃん、玲音ちゃんを除いたSunLive.メンバー全員で、年越し配信組3人は私たちの家のリビングからその配信を見守っている。

 玲音ちゃんは息抜きに見ているかもしれないけれど、今は必死に勉強をしているはずだ。早く配信に戻ってきてほしいと思っている。


「さぁて、こっちもそろそろ始めないといけないな」


 クリスマス配信、どうやら普段はあまり進行をすることはない撫子ちゃんが今日の進行らしい。初配信からしばらくの頃は割と落ち着いた印象でいたけれど、最近は落ち着いたというよりは天然な感じで、面白路線が増えている気がする。フルでぼけていくスタイル。

 司会進行に合うかは分からないけれど、何事も挑戦と言うことなのだろう。

 そんな東京組の皆様とは別行動で、私達が今日やるべきことはそう、七面鳥をクッキングすること。クックパッドさん、お世話になります。

 現在時刻は午後の7時。手こずるとして調理時間は3時間ほどだろうか。既に一番時間の掛かる工程については済ませてあって、朝のうちに七面鳥を塩水に漬け込んである。これが味付けになるらしい。もちろん作るのは初めてなのでちゃんと味が付いているのかについては食べてみるまで分からない。


 では、動画になると言うことなので皆それぞれイヤホンを片耳だけ装着してカメラを回す。

 あ、ちなみにイヤホンから流れている音声はクリスマス配信の音声ね。テレビをキッチンから見える位置に移動して、音声は片耳だけつけているイヤホンで。なにか撮影に必要な会話をするときなどはそれぞれで音量を調整しながら、配信の音声につられないように気をつける。

 動画にクリスマス配信の音声を載せてしまうのはまずいだろうという判断だ。


「ということでキッチンに来たよ。じゃあ茶葉ちゃん七面鳥出してね~」


 そういう香織の声に併せて、カメラの外に待機させていた七面鳥を取り出す。バッドの上に乗っている七面鳥は塩水を吸い込んでか購入時より張りが出ているような気がする。気がするだけかもしれない。


「はい。すでに塩水につけてしばらくつけてあるんで、あと焼いていくだけかな」

「じゃあオーブンの予熱始めちゃいま~す」


 と言ってスマホのカメラを使って動画を撮影しながら、凪ちゃんがオーブンを予熱し始めた。







――それから時は流れ……


「で、できた……」

「……これ本当にできてる?」

「でも結構飴色でおいしそうでは?」


 なんかバターとかぬって、オーブンに入れてとかいうまったくもって動画映えのしない同じような工程をひたすらに繰り返して数時間。ようやく七面鳥の調理を終えた。ちなみに、凪ちゃんの要望によりニンニク多めでお送りしております。

 おかげでキッチンにはほのかにニンニクの香りが漂っている。


「あの、想像以上に見栄えしなくね?」

「……動画一本は無理かも」

「年越し配信で軽く流すのはどうかなぁ」


 と、せっかく頑張って撮影した七面鳥の動画が動画化しないことが確定していた一方、東京のスタジオではクリスマス配信も終盤を迎えていた。


撫子『配信も終わりが近づいてきたと言うことで、新春配信に関しての宣伝と内容について発表をしたいと思います』


 数時間も司会を続けて慣れてきた撫子ちゃんが、緩急をつけながら堂々と宣言。それに対して他のメンバーが「うぉ~」だとか、「なになに~?」だとか思い思いに煽っている。


撫子『新春配信はなんと、視聴者参加型です!』


コメント

:視聴者参加型?!

:まじか

:きたぁぁああ

:どうやって?

:オンラインゲームってこと?


撫子『のんのんのん、なんと、ビンゴ大会を開催します!』

朱里『ずっとシステム部が本気で動きまくってたから、ちゃんとできると良いなぁ』

律『フラグ立てるのやめてくださいね』

撫子『まあまあまあ、で、その参加条件に関してなのですが、昨日までにSunLive.メンバー誰か一人でもメンバーシップに加入されていた方になります!みんなが参加できるのが理想なんだけど、それだと莫大な数になってしまってプレゼントの用意が追いつかないと言うことなので。詳しい方法については後々画像で公開しますね』


 そう、我々が新春配信で行うことは、SunLive.大ビンゴ大会である!

 ちなみに、視聴者参加型の方とはまた別で、我々はビンゴを行うと言うことになっている。そこら辺は配信までお待ちを。


「さて、食べますか……」


 一方浜松。既に配信を終えて真っ暗になったテレビを見ながら七面鳥を食べ始める私達。


「あ、結構イケる」


 意外とおいしかったとさ。





====あとがき====


 いつも作品を読んでくださりありがとうございます。

 七面鳥の描写についてはもう少し詳しく書こうと考えていたのですが、想像以上に盛り上がりに欠けるような内容になってしまったため、簡素化させて貰いました。

 隙間時間に書いているので短めで申し訳ないです。余裕があるときにはしっかりできるだけ長めに書いていくので、どうぞこれからもよろしくお願いします。

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