熱愛発覚とアイドル引退?
刑事さんと別れ、俺は学校を目指した。
歩いていると周囲が想像しかった。
なんだ、みんなスマホを見て驚いてる。
気になって俺もスマホをチェックすると、ニュースに『安楽島、引退か!?』の文字が。
更に追っていくと『理由は分からないが、一般人との熱愛発覚か。事件に巻き込まれたという噂も』と書かれている。
まてまて!
熱愛って、まさか……いや、俺の名前は書かれていない。それに事件のことも噂程度に流れているな。そうか、あの記者の男の仕業だろうな。
とりあえず、情報が完全に漏れたわけではなさそうだ。
教室へ到着して、楓の姿を確認する。
「……いないか」
「誰がいないですって?」
背後から声がして振り向くと――そこには前川さんがいた。相変わらず神出鬼没というか。びっくりした。
「おはよ、前川さん」
「おはようございます」
これまた相変わらず馬鹿丁寧に挨拶する前川さん。そういえば、前から挨拶だけは交わしていたような気が。
「楓……安楽島さんは見てない?」
「安楽島さんですか。まだ来ていないみたいですね」
「そうか」
いつもなら先にいるんだけどな。
とにかく立ち尽くしていても仕方ない。
俺は自分の席へ。
前川さんも前の席に座った。
そういえば、そこでしたね。
「今日は朝から騒々しいですね」
「……ああ、昨日の事件だろ」
「つまり、事件の影響で安楽島さんは来られなくなったとか」
そんな推測を立てた前川さん。なるほど、それなら筋が通る。一応、まだ現役アイドルの楓は、様々な関係者と関りがあるはず。
特に事務所はうるさいはずだ。
しばらくは学校を休めだとか指示されても、おかしくはないかもしれない。
メッセージアプリに既読はない。
「はぁ……」
「おやおや、深い溜息ですね。悩みなら聞いてあげますよ」
「悩みっていうか、うーん……いいよ。解決できることじゃないし」
「人に話すだけでも楽なれますよ」
それもそうかも。
それに、前川さんは無関係でもない。
彼女の一千万円のおかげで楓を救出できたのだから、無碍にするのも違う。
「じゃあ、聞いてくれ」
「安楽島さんのことですよね。彼女なら芸能事務所から登校を禁止されているみたいです」
「って、相談する前に!!」
「だって、東山くんってば顔に書いてあるんですもん」
「なにィ!?」
そんなに俺の顔って分かりやすいのか!!
くそ、なんか恥ずかしいぞ。
しかし、おかげで楓が来られないということが分かった。
そうか、やっぱり事務所が禁じていたんだ。
「だから、しばらく学校には来ないかと」
「分かった。でも、なんでそんな詳しいんだよ」
「企業秘密です」
「なんだよ、企業秘密って……」
謎の情報源だが、信用はできる。
仕方ない、しばらくは楓からの連絡待ちだな。
その後、俺は真面目に授業を受けていく。
連絡はまった来ず……昼を迎えた。
一言くらい連絡を寄越してくれると嬉しいんだがな。未だに既読にならないとは。
昼休み、俺は屋上でパンを齧りながらスマホを眺めていた。
ぼうっとしていると突然、電話の着信が。
きた!!
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