#125 〝ゴジラ〟を最初に見た子供は私

好き嫌い 興味のあるなしを問わず

〝ゴジラ〟を知らない人はいないでしょうが


この第一作 『水爆怪獣ゴジラ』公開 オンタイム目撃者は

ほとんどいないでしょう なんせ70年程前の話ですから


東宝宣伝部にいた父は 宣伝会議の為の社内試写を見て

   毎日の事なので 家で映画の話はあまりしないんですが

「ちょっと すごいものを作ってきたぞ」と言って 

母に特別試写会の招待券を持って帰りました


これは 上映開始前に映画評論家や雑誌記者・関係者などを

招いて催す試写会で ちょっと力の入った映画だけ行います

SNSなんかありませんから ここで観てから 広めて欲しい

というレセプションです


当時の映画館は自由席で 途中入場・退場も随意でしたが

この時は 招待状に座席指定券がついていて

開場の際は 出演俳優や監督が並んで来客を迎え

映画の宣伝資料や記念品などを一人一人に手渡します


まっ 私は当時 家に置いとけずに連れて来られた幼児でしたから 

この〝試写会の記憶〟はもっと後の映画の事なんですが

初日挨拶のような事はないけれど スターが同じ劇場の客席に

並んで座ると そこだけ華やかで後光が差してて

ほんと 楽しかったです


もちろん ゴジラ試写会の記憶は断片的ですが

一番 覚えているのは 席に座って足をブラブラさせてる私に

母が 渡された冊子の中の写真を見せて しつこく何度も

「ゴジラはね おじさんが中に入って動いてるだけなんだよ

 なあ~んにも 怖くないんだよ ただのおじさんだから」

と 今やゆるキャラでもご法度の秘密を繰り返した事です


見せられた写真は ゴジラの足をしたおじさんが 

上半身ダボシャツで 日本手ぬぐいで頭を縛ってて 

笑ってお茶を飲んでる 制作現場のスナップでした


母にすれば こんな大切な試写会で 私が恐怖のあまり泣き

叫んだら一大事 と思ったんでしょうね

     そういうタイプの子供ではなかったんですが

ストーリーは理解できなかったのか 全く覚えてないんですが

ゴジラがずっと おじさんに見えていた記憶は微かにあります

それと あの音楽がお腹に響いた事 くらいかな


でもですね 当然 試写会に子供なんか他にいませんから

日本で いや世界で一番最初にゴジラを見た子供は私!!

だと思いますんよ


そんな訳で ゴジラは怖くなかったのですが

これも幼稚園の頃と思いますが 

『ラドン』を観た時 冒頭 炭鉱のような中に人が入って行くと

巨大な虫が襲って来る 「これが〝ラドン〟か!」と思ってたら

その巨大な虫を さらに巨大な 卵から生まれたての雛が

ひょいとつまんで食べちゃう その瞬間が本当に怖かった!!

その他は ほとんど覚えてないですが


そのラドンの試写会記念品の中に ラドンの凧があって

お正月に屋上で揚げようとしたら クルクル回って全然

コントロールできなかった というのも覚えてますよ

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