#122 昭和中期の歳末風景(大掃除) 

大掃除 もう東京では見なかったですが

祖父母の町(大阪)では 暮れに回覧板が回ってきて

その日は 町会一斉に大掃除になりました


日本手ぬぐいで 姉さん被りしたり 頭を縛ったり

マスク代わりに口元にたらしたり して準備

日頃は別に住んでいる子供たちも手伝いに駆けつけます


家々それぞれ敷物(ゴザとかボロ)を外に出して まずはそこに

家具を運び出して並べます

それから 畳を外に出して2枚を山形に寄りかからせて立たす

(人の字だと倒れますよ)各家の畳が道いっぱいに並びます

この時 畳同士をくっつけないで 間に木切れなどを噛ませると

風が良く通って 畳が乾燥するんです

      祖父は几帳面な人で 大掃除前夜には

      このかませる木切れを きちんと線を引いて

      全く同じ形にノコギリで切り出していました


畳がなくなった家では 天井や壁のすす払い からスタート

建具もはずして 外に出してるから ガラス窓や障子は

ホースで水掛けて たわしで洗う


全部はずした日本家屋って スカスカで寒い!!

畳を除け 敷き詰めてあった新聞紙を外すと 床は板状の材木で 

隙間からは下の土も見えてる この状態の時は土足OKだから

子供はウキウキ よその家の様子も土足で覗いて回ったりして

もう少し大きくなると はずした新聞(1年以上前の記事)に

夢中になってたなあ


陽が中天を越えると 一斉に竹の棒で畳を叩き始める(ホコリすごい)

    これが 日を決めて地区一斉に大掃除する理由です

    それとその日は市の清掃車が特別に来て 出たゴミ全部

    大型でも何でも持って行ってくれる事になってますから


すでに 殺虫剤(ノミよけの白い粉)をたっぷり撒いて

新しい新聞紙を敷き詰めた座敷に 叩き終わった畳が入る

     このために 畳の裏には 大きな字で色々な符丁が

     書かれています 手造りの畳には微妙なクセ?があって

     どれをどこに置いても大丈夫 

     というようなもんではないのです


一斉に 女たちは畳を拭く 男たちは外の家具を拭いてから

運び込む 最後に乾いた建具をはめたら 共有部分の掃除

それぞれが家に引き上げても 細々とした用事は残っているから

今日は店屋物(出前)にしようと言って 男たちは飲み始める

じゃあ 障子貼りは明日だね と女たちも一息いれる


畳張替えの時みたいにいい匂いもしないし 部屋の中見回しても

家具も建具も代わり映えしてないけど

皆で共有してる 軽い疲れが ガマンしてたあの寒さが


〝よ~~し 正月来るぞぉおお~~〟


感を 盛り上げてくれる行事でした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る