第6話 私達、元の世界に戻れるの!?
プラチナで出来た台座に、4つ目の聖なる石がはめ込まれた。
首飾りには12個のプラチナで出来た台座があり、まだ8個の台座が空のままだった。
「ありがとう、由香、亮介!やはりお二人は、勇者でしたのね!」
レイアは本当に嬉しそうにお礼を言った。
「本当に嬉しい事だ、これで聖なる石を早く集められる!」
第二王子のサランが嬉しそうに言った。
皆からお礼を言われ、由香と亮介もまんざらではなく、照れながらも嬉しかった。
「役に立ててよかったよね、亮介」
「うん」
サラン王子が嬉しそうに亮介の肩に手を置いた。
「これからは、ぜひ悪魔退治に協力してくれ!」
「そういうわけには、いかなそうよ、お兄様」
突然の後ろからの声にサランが振り返ると、王女セシルと皇太子のアーロンが部屋に入って来たところだった。
「セシル、それはどういうことだ?」
サランが聞くと、アーロンが答えた。
「元の世界に戻る方法がわかったんだ」
その言葉に、由香と亮介が驚き、顔を見合わせる。
「今なら、地震発生の1日後に戻れるそうだ。しかし少し後になると地震発生の一週間後になる」
アーロンが真剣な顔つきになる。
「地震後の状況が分からないのだろう?一日後なら、君たちの両親を助けられるかもしれないし、会えるかもしれない。だが一週間後になってしまったら…」
アーロンはそこで言葉を止めた。
一週間後だと、亡骸にさえ会えない可能性がある。
多分、アーロン王子はそう言いたかったんだろうと、由香は思った。
サランが頭を掻く。そして言った。
「戻った方がいいな」
レイアは優しく微笑む。
「ええ、そうですね」
「でも…」由香と亮介はみんなの事を思うと、後ろ髪惹かれる思いだ。
「お二人は十分に貢献してくださいました」
レイアが言う。
「ええ、由香、亮介。私達は二人に感謝しているわ」
セシルは由香の手を取ってそう言った。
「その通りだ、二人とも、ありがとう。後のことは心配せずに帰るんだ」
アーロンがそう言った。
「あ、ありがとう、みんな」
由香と亮介は涙ぐみながらお礼を言った。
◇
この世界に来た時に着てた服に着替え、祭壇の前に二人が立つと、皆が口々にお別れの言葉とお礼の言葉を口にした。
「あ!」と亮介は声をあげると、だっと走ってサランの所に行く。
皆が不思議そうに見ている中、首にかかっている双眼鏡をはずして、サランに差し出した。
「え?いいのか?」
「うん。きっと、役に立つよ」
「ありがとう、亮介!」
そう言い、サランは双眼鏡を受けとった。
亮介が由香の横に戻ると、レイアが呪文を唱えた。
二人はみんなが見守る中、光の中に溶け込むように姿を消していった。
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