体長100m超の巨大生物パウンドと、第二の脳であるニノが繰り広げる、スケールはとても大きいのに、どこかのんびりしていて優しい物語でした。
最初は、巨大ホタテや巨大イカ、巨大タコなどが当たり前のように出てくる世界観に笑ってしまいました。
巨大生物同士の戦いなのに、会話のテンポが軽やかで、「イカなのに」「ホタテ食べたいですね」といったやり取りがとても楽しいです。
けれど、この作品の魅力はそれだけではありませんでした。
世界最強だったはずのパウンドたちが、まさかのデバフ状態になり、巨大イカにさえ苦戦するほど弱くなってしまう。
その展開自体はコミカルなのに、弱くなったからこそ見えてくるものがあるところが、とても良かったです。
ノックス中尉とファイン少尉の優しさ。
シロとハクの成長と親孝行。
メカパウンド介護型の献身。
そして、人類全体がパウンドを助けようとする流れ。
最強でなくなったパウンドたちを、誰も見捨てず、むしろ全力で支えようとする世界の描き方に、この作品ならではの温かさを感じました。
パウンドたちは、強いから必要とされていたのではなく、ちゃんと愛されていたのだと伝わってきて、読んでいて温かい気持ちになりました。
特にメカパウンド介護型が好きです。
兵器でありながら、ただ命令通りに動くだけではなく、そこに確かに愛情やロマンのようなものが感じられて、作品全体の優しさを象徴している存在だと思いました。
巨大生物の豪快さ、ゆるい掛け合い、食いしん坊なニノの可愛らしさ、そして最後にはしっかり熱い決戦もある。
楽しく笑えて、最後には「この世界、いいなあ」と思える素敵な物語でした。
転生した僕が生まれ変わったのは体長100メートルを超える巨大怪獣だった! その第一脳となった僕は第二脳で美少女(と妄想)のニノとともに、巨大怪獣として生き残り、自分たちを滅ぼそうと攻めかかる人間の国家との共存を図るが……。
そして、さらなるピンチが僕たちを襲う。進化の光によって、急激に弱体化してしまったのだ。最弱の怪獣となった僕たちは果たして生き残ることができるのか——!?
ほのぼのとした柔らかな筆致で描かれる物語は、牧歌的な印象さえ感じる。それでいて、生き残ることに必死な大怪獣たちの葛藤が明文によって伝わってくるのだ。
この奇妙にして、愉快な読書体験を味わってみてはどうだろうか。僕とニノとあなたの幸せな時間が訪れるだろう。