第6話 日本での兄妹の扱い

光る空間の側に行き母さんに連絡を取ると、心配していたようで、色々と質問攻めに遭ってしまう。

サクラがゴブリンがウザいとか言っていた事を覚えていたので、野生の猿にでも襲われていたとでも思っていたみたい。

家は無事だとか、二人とも大丈夫だとかそんな感じ。


父さんが光る空間にLANケーブルを伸ばしてくれたのでコッチにあるアクセスポイントと接続して、無事に家中にインターネット環境がやってくる。


俺のパソコンには会社無断欠勤しやがって!みたいなお叱りのメールが届き、妹の方には学校どうしたの?とか心配するメッセージで溢れていたようだ。


異世界転移?のこの状態をどう説明すれば良いのか考えてしまう。

本人が直接言いに行く事も出来ないので、ここは話し上手な母さんに丸投げしよう。


日が落ちると森の中なので余計に暗く感じる。

窓の外を見ると月が二つ。

一つは普通の月だけど、もう一つは半分破壊されていて土星の輪のように破片が散らばっている。


確実に異世界だなと。


電気を付けて明るいと、またゴブリンのような奴等が寄って来ても困るので雨戸を全て閉めて、カーテンも閉める。


外に光が漏れないように注意する事にした。


調理の臭いとかも出せないので、当面の安全が確認できるまでは母さんに3食作ってもらう事になる。


サクラとの夕食が終ると、回収したドロップ品を眺め始め、武器類は刃が入っているので本物だ。


綺麗な剣があったので、装備してステータスを確認してみると

【攻撃力】130 +5

【装備】鉄の剣(中)+5

とダウンして、地球の小石の方が攻撃力があるのかと改めて実感。


綺麗な剣でこの感じでは錆びた剣や石斧では期待できないだろう


銅貨と銀貨もなんだか知らないオッサンの肖像が描かれていて価値までは解らない。

これは地球の貴金属買い取り店でどの程度の価値があるのか調べて貰う為に、母さんに何枚か預ける事にする。


「お兄ちゃん、私たちの地球側の扱いが決まったって!」

母さんからメッセージが届いていた。


”国の難病指定により、一緒に住んでいた二人は隔離病棟行きにしました。シオンの会社の人と、サクラの学校にも連絡しておいたから、サクラは休学扱いね”


俺はどうなるの?とメッセージを送ると


”面会謝絶なので6ヶ月ほどは休職扱いにするけど、それ以降は自己都合で退職して貰うかもしれないって”


はいそうですか、社会人なんてそんな物だよね。


「でさ、お兄ちゃんあのゴミ袋いっぱいのゴブリンの腰巻きどうするの?臭いよ」


汚いけどドロップしたのだから使い道があるのかもしれないゴブリンの腰巻き、ビニールの大きなゴミ袋に入れて縛って外に置いてあるが、思い出すだけでも臭い。


「1枚だけ洗ってみるか?」

「私、あれ洗った洗濯機二度と使いたくないよ」


そんなことを言われ風呂場で手洗する事にしたのだ。


ゴブリンの腰巻き、焦げ茶色の何かの皮なのか?わからない物で出来ている。

洗い桶にぬるま湯を注ぎ、作業着洗い用のストロングボムなる強力洗剤をぶち込んで良く溶かす。


アルカリ系の凄い強い洗剤で油汚れやカーボン系の汚れも良く落ちる逸品だ。


その中にゴブリンの腰巻きを漬け込み、2時間ほど放置する。

時々棒で突っついて攪拌したりしてやる事で洗剤成分を良く浸透させると、放置が終る頃には洗剤液が真っ黒な液へと変化した。


どんだけ汚いんだよ!


洗剤液を数回交換し洗濯を繰り返すと、あら不思議、綺麗な動物柄のような毛皮模様が現れた。

あとは柔軟剤につけ込んで軽く脱水すると、外にある物干しに干してリビングに戻る。


今日は自分の部屋で寝るのではなく、リビングルームで兄妹二人で寝る事にした。

さすがに異世界の訳わからない場所で一人で寝るのは怖いとサクラが言ってきたからだ。

まぁ俺もその方がこの家に何か有った時にすぐに対応出来るので安全が確認できるまではこの状態を続ける事に賛成する。


「お兄ちゃん、地球に帰れるかな?」

「来られたのだから、元に戻れるのじゃないのか?」

ハッキリ言ってここに来た理由もわからないから、帰る事が出来る保証も無い。

しかしこの場で「わからない」と返答するのは無粋でありサクラに無駄な不安を与えてしまう。


ここは無難に「来られたのだから戻れる」と返答するのが良いと思った。


「そうだよね!来た道を戻れば家に帰れるよね!」


こんな時元気なサクラには助けられる。彼女の元気さで俺の不安の一部も飛んで行き、無駄な事は考えないようにする事に決めた。


明日はこの世界のシステムについて調べられる範囲で調べなければならないかもしれない。


サクラは一日緊張していたのか、ソファーに寝転ぶとすぐに寝てしまう。


思春期の妹と話す機会なんてそんなに無いけど、久しぶりに1日中一緒に居たし、数年分の会話をしたかもしれない。


そんなサクラを眺めながら彼女の明るさに期待して今日は眠る事にした。

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