verse

水中

1


 月が寝ている。星が土砂降りの日。そこら中が星だらけ。道にも屋根にも、積もっていた。こんな日は、外は歩けたもんじゃない。みんな同じ考えで、今日の地下はよく賑わっていた。色んな屋台に、色んな奴ら、色んな匂いに色んな音。


 今日の夕飯は何にしよう。家に今何があったっけ。何が必要だったっけ。

 今日はそうだ、シンプルに、恋の素揚げにしようかな。


「すみません。初恋一つ」


「はいよ」


屋台の店主から初恋を受けとって、僕はそれを昨日みた夢と交換した。 


「毎度」


 店主は僕の夢に満足してくれたようだ。店主はにこりと笑い、僕の夢を大事そうに鞄にしまった。


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