第2話 ショッピングと準備
ショッピングは目一杯楽しんだ。
街のショッピングモールでお昼に待ち合わせをして、フードコートで各々好きなものを選んで食べてからの買い物。
「それ凄いね」
私がうどんを買いに行く間、明佳は何やらトッピングの可愛らしげなフレンチトーストの乗ったお皿をテーブルに置いてホクホク顔で待っていた。
「いいでしょ。ここ来たら絶対にこれ食べるって決めてたんだ」
「へー、なんか有名なの?」
「前にSNSでフォローしてる人が食べてるの見たんだー」
「ああ、なるほどね」
明佳は食べる前にフレンチトーストの写真をカメラ付きの携帯端末で色々な角度から撮影した。SNSに上げる用に、いつも写真を撮る明佳の顔は実に楽しそうで、そんな明佳の様子を見るのも好きだ。
写真を撮り終えると、明佳はうどんを食べる私の顔を見た。
「真優もいる?」
「私はいいや。うどんあるし」
「そんなこと言わずにー。ほら」
明佳はフレンチトーストを切り分けて、別の受け皿に乗せて私の前に置く。
「ありがと」
「どういたしまして」
明佳はフレンチトーストを、それは実に美味しそうに平らげた。
私もうどんを食べた後、明佳から分けてもらったものを口にしたけれど、確かになかなかのものだ。話題になるというのも頷ける。
食事を終え、私と明佳は本来の目的である洋服選びに向かった。
昨日はああ言ったが、服のセンスが壊滅的な私と違い明佳の選ぶ服はいつも可愛い。たまにふざけて露出度の高い服だとか下着みたいな服を持ってきたりはするが、基本的にはちゃんと相手に合わせたコーディネートのできる目利きなので、一人で買い物するよりも世界が広がる感覚は、明佳といてこそだ。
水着も私の好みにあったワンピース系のものを店に入るなり即座に持ってきたのは流石の一言。
「毎回毎回すごいよね、感心する。私一人で選ぶよりも私好みのものを」
服と水着を買ってからは、二人で雑貨屋さんに行ったり、本屋に寄ったりして、普通に休日を楽しんだ。
「夕飯どうするー?」
「そうだね。今日はもう帰るよ。また海でね」
「いいね。また海で」
「まあ待ち合わせは駅だけどね」
私は明佳と別れて、急いで家に帰った。
考えてみれば、活発的な明佳のことだから、これからも街の外に出て遊ぼうとすることはたくさんある筈だ。
まだ私たちが学生だから、移動範囲もそう広くはないけれど、それもいつかは終わりが来る。
当たり前といえば当たり前だけど、正直私はかなりのインドア派なので、そのことまで気が回らなかった。
明佳とならどこへ行っても楽しいだろう。
とりあえずは、まず海だ。
この連休最後の日を、明佳とまた目一杯楽しむ為にできることはしよう。
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