第39話 ジーク・ハインデルク②
リーナはあれから随分と痩せた。
病的に痩せている御令嬢が多い中で
健康的に美しく痩せている
内面の優しさが滲みでた笑顔や
そのあどけなくも美しいたたずまいは
見るものを優しく引きつけて離さない
実はジークは結構前から
彼女に積極的にアプローチをしているのだが
リーナ自身の自己評価がとても低く
さらに言えばかなり鈍いのだ
ジークの家族、特に母親のスノーも陰ながら応援してくれているが
ジークはとても優秀で容姿も整っていて家柄も良いと言う超優良物件
だが恋愛については誠実であるが
逆に押しが弱くて、たまにリーナの侍女のサクラ嬢から
可哀想な人をみる目でヘタレとボソッと呟かれれては
地味に落ち込んでいる。
だがしかし、ジークはリーナを
もはや逃してあげる事は出来ない。
迂闊に自分の領域に踏み込んでしまったのだから
次代の群れの長にして孤高の銀狼
これで獲物を逃したら沽券に関わる。
狼は一度伴侶となったら
その者と一生を共にする。
仮に伴侶が死んでも新しく別の伴侶を娶る事は無いのだ。
選ばれた女性はきっと幸せであろう
その愛に応えられるだけの器さえあれば。
ある意味必然だったのかも知れない
ジークほどの男の想いを受け止められる器など
見つける方が困難なのだから。
時折り何を想像しているかの分からないが
フリーズしては、その後慌てふためいている様子も
恐らく勘違いをしてるのであろう、
いきなり悟った様に無表情になる様も愛おしい
出来るのであれば彼女を閉じ込めてしまいたい
自分以外の男に見られる事など我慢できないのだ
だがあのあどけない笑顔を
一瞬でも自分のせいで翳らせる事など
ジークのプライドが許さない。
誰もを惹きつける魅力的な性格の彼女だが
実はかなり内気で、同世代の御令嬢の知り合いがいない
普通に考えれば上位貴族の女性としてはよろしく無い
ジーク自身にこだわりは無いのであるが
周りのご令嬢にとっては余りにもわかりやすい弱点だ。
だがしかし、歳の離れた現在社交界を牛耳っている年配の女性には
すこぶる評価が高い
リーナが作り出している美容品や
リーナ自身の知性が高く、
美しい所作は王族と比較しても何ら遜色がない
非常にアンバランスな所有者を選ぶ名刀の様なものだ。
もう直ぐ学園が始まる
彼女の望む様な、穏やかでゆっくりと流れる様な生活は
残念ながら送れないであろう。
薄暗くだが暖かい闇の中で
才能という葉をしげらせ、可愛らしくも美しい蕾まで
つけてしまったのだから。
暗闇の中から恐る恐る顔をのぞかせる
その花を競って奪いあう事であろう。
そこそこの大国である国の公爵家嫡男としての自分の地位すら
易々と踏み越えてくる相手も容易に想像できる。
自国の王子や帝国の皇子
取るに足らないがリーナの生まれた国の馬鹿王子
自分自身もどちらかと言えば
気心の知れた仲間たちと穏やかにくらしていきたいのではあるが
大切な想い人を奪われるのはごめんだ。
だれにも渡さない
あれはもう自分の獲物だ
渡す事など出来るはずもない
ーーーー第二章 完結
ご愛読ありがとうございました。
白豚令嬢ですが隣国で幸せに暮らしたいと思います 忠野雪仁 @yukihito_tadano
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