第5話  大海の水も一滴から。巨大バケツで、ジョバァァァア。

 二度目の朝は、静かに始まった。太陽もまだベットの上でだらけているような時間。

風の声だけが響く静かな朝。噴水の水の鼻唄を聴きに鳥が集まるそんな朝。

 そして静寂は一つの歪みによって壊される。悲鳴が響く。朝が終わりを告げる。




「、、、ッ!!何だ?!」

歩は突然の悲鳴に混乱しながら窓の外に駆け寄り、若干の恐怖を噛み殺しながら外を見回す。

「あれは、、魔物!?堀を抜けて来たのか⁉︎『有識者』さん魔物の解析お願い!!」

冷静かつ慎重に、素早く情報を処理する。アリスさんを避難させ、街の中心へ向かう。


〔解析完了しました。解答します。魔物は計五体。そのうち三体がゴブリン、残り二体は

レッドゴブリン、ゴブリンの上位種です。現在「天早 歩」はレベル-(12)であるため、勝率は五割弱です。〕


「五割弱⁉︎ 流石に心もとないな、、なんか無い?勝率八割ないと無理〜!!」

走り出したのは良いものの圧倒的にノープラン。藁にもすがる思いで『有識者』に問う。



〔解答します。昨日お伝えした『魔力制御』の獲得を推奨します。魔力による身体強化に加え、【魔力弾】と言う超初級魔法が使用できるようになります。〕


「わかった!、、あれ、あと一回『スキップ』使わないとじゃなかった?そんな時間ないよ!どうすんのよ〜武器もないし、、相手、こん棒?持ってるよ!」



〔補足します。『スキップ』は使用さえすれば良いので、五メートル進むだけでも大丈夫です。そして、武器に関しては問題ありません。棍棒であれば身体強化で粉砕できます。〕



「わかった、、少し呆れてない?無策で出て来ちゃったのは、、申し訳ない。

 とりあえず『スキップ』使うね!」



 “『目標地点』は、五メートル前進すること”

 “『目標達成時』のイメージ- ちょっと進んでパン屋さんの前通過してる”

 魔力流してっと

                  『スキップ』!!




《『スキップ』開始》

〔オートモード起動。行動速度上昇・記憶処理・思考速度低下 ON。〕

 


 一定量の魔力消費を確認。条件達成、『スキップ』の権能発動を『世界』に申請。



スキル『魔力制御』獲得。『スキップ』終了時に「天早 歩」への付与開始します。




『目標達成』まで、十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、、、



〔オートモード停止。行動速度上昇・記憶処理・思考速度低下 OFF〕


                           《『スキップ』終了》


「よし、大丈夫かな?あんまり『スキップ』した感ないけど、『ステータス・オープン』」



  『魔力制御』 《魔力の制御・操作の精度向上》

 任意的発動 “魔力操作など行うときのロスを減らす、【魔力弾】の習得”



「あっ、本当にできてる!魔法使えるようになったのはデカいな、、よし!行くぞ!!」

歩は騒ぐ膝を黙らせ、勇気と呼ぶにはまだ幼い自信を胸に拳を握った。



崩れた屋台、睨み合うゴブリンと角材を握った男たち。

悪意すら感じ取れるほどの殺気と緊張、寒気に鳥肌が立つ。

街の温かさは嘘のように消え、ここは戦場なのだと嫌でもわかる。



  暗闇に灯りを灯すように、緊張しすぎた糸を切るような声が響く。



「皆さん!大丈夫ですか!助太刀させていただきます!」

 歩は大きな声で、自分が来たことを知らせる。

初めて命に触れる恐怖と戸惑いは今はいらない。ただまっすぐに相手を見る。


「ありがたいが、武器も待ってないのに大丈夫か?しかもまだ若い、、」


周りは予想外の希望に戸惑う。縋って良いのか、葛藤が見える。


「ご心配ありがとうございます。でも大丈夫です!」

その指摘はごもっとも。だが自分を鼓舞し、集中する。




 右手を突き出し魔力を集める。掌から滲み出るエネルギーを凝縮する。

青白く光るその球は渦を巻き、弾丸となる。そこからまた、大きく、太く、眩しく光る。




            _____我が敵を穿て_____ 【魔力弾】


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