第56話
岸と彼の秘書が待つ応接間に、先程二人を案内した受付嬢が、お茶を持って入って来た。
彼女は、ゆっくりとした仕草で、二人にお茶を差し出し、礼儀正しく御辞儀をして部屋を出て行った。
この部屋は、三十五階に位置しているだけに、窓から見える眺めがとても良い。
岸は、その眺めをじっと見つめて、何事か考えに耽って居た。
やがて、足音がして、二人の男性担当者が応接間に姿を現した。
「お待たせ致しました」
岸は、窓の外に向けていた視線を、ゆっくりと二人に向け、彼らに声を掛けた。
「いつもすまないね。今日は、楽しみにして来たよ」
担当者の二人は、岸に軽く頭を下げ、きびきびとした動作で、ソファーに座る。
その間、岸は、ゆったりとした動作で、ソファーに近づき、秘書の横に座った。
「ご依頼の件ですが、ようやく報告書が纏まりましたので、早速、お目通し下さい」
と、言いながら、体格の良い役職らしき男が、隣の若い細身の男に目で指示を出した。
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