第11話 休日
私が休みで家にいるときはピーも一日機嫌がいい。
同じ部屋にいる安心感からか平日の夕方ほど私の後追いをしない。たいてい一人でぴちゅぴちゅ遊んで、合い間に私のところにやってくる。
お腹が空くと、畳の上に置いた鳥かごに入って中のエサ入れからごはんを食べる。鳥かごの扉はずっと開きっぱなしにしてある。ピーのごはんは殻付きの雑穀に灰色のボレー粉を混ぜたものだ。エサ入れに頭を突っ込んでついっついっとついばむついでに首をふりふり振って粟とかひえをひょいひょい振りまく。鳥かごの下には新聞のちらしを敷いてあるけど、その上にも周りにも小さな粒々が飛び散っている。
エサ入れには殻や皮がたまるので、母がごはんを替えに来る。ピーが食べていないときに来るのに、母がエサ入れを持っていくのを見てピーはぎゃぎゃっと威嚇したりする。
「新しいごはんをあげるんでしょ」母は苦笑いしながらピーに言う。世話をしているのに怒られて、子どもの世話って割に合わない。
本棚の横で大きなビーズクッションに埋まって本を読んでいると、鳥かごから出たピーが私に向かってくる。翼があって飛べるのに、二本の足を交互に出してとことこと歩いてくる。たまにいぐさに爪が引っかかるのかぽてっと畳の上に顔からこける。落っこちている粟玉を見つけるとついっとついばんで、道端の野イチゴをつまみながらぷらぷら歩く子どものようだ。
本を読んでいる途中にうっかり眠り、目を開けると顔の近くのビーズクッションの上でピーもうたた寝していることがある。猫や犬ならともかく、こんな小さな生き物は寝返りしたらつぶれてしまう。ひやっとして一気に目が覚める。クッションのビーズが小さくがさっと鳴って、その音にピーがびくっと体をふるわせて目を開ける。
寝ぼけた子どもみたいにあれ? という顔をするが、真ん前にいる私と目が合うと、「ピピッ!」とピーは嬉しそうに声をあげるのだった。
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