これぞ青春群像劇!
開けた窓から吹き込んでくる風に煽られて、大きく膨らむ生成り色のカーテン。
体育倉庫の中に折り畳まれた体操マットの匂い。
放課後に吹奏楽部が行う練習前のチューニングのロングトーン。
次第に愛着の湧いてくる、誰かが彫った机のいたずら書きの跡。
好きだったあの人を廊下で見かけた時の視線の置き場所……
作中にもありました、『一瞬でも1秒でも忘れられない記憶が青春』とは、まさにこのこと。
すっかり忘れていた学校の記憶が五感全てで蘇ってきます。
この物語は中学2年生から。
主人公たちの世界を取り囲む家族と友達、そして片思いのあの人を想うふわふわとした思春期から、次第に自分の夢と将来や家族を支えることを考える大人の入口へどんどん成長していくさまを、軽やかな筆致で絵巻のように書き綴られます。
王道ラブコメの名に相応しく、作者様の少々クラシカルな(失礼!)ギャグの切れ味は回を増すごとに研ぎ澄まされていきます。
一方、いじめ問題や進路などシリアスな話も。
作者様の頭の中にはこの登場人物が実在していて、もはや作者様の手を離れて勝手に動いたり喋ったりしてるのでは? と思うぐらい、熱量を持って生き生きと描かれています。
今年のお盆は、実家に帰省したついでに母校に立ち寄りたくなる、そんな思いにさせてくれる『エバーグリーン』な物語。
今年は同窓会あるのかな……