第3話 ケーキが待っとるでえ
3月上旬。
合格発表の日。
ネットでも確認できるそうだが、おれは古き良き人間なので大学の掲示板まで確認しに行った。
自分の番号を探す。
「あった! あったぞ!」
おれは即、白鳥に連絡した。
「あら、合格したの。おめでとう。お祝いにケーキでも買いに行く? ちなみに烏丸君も受かったから、一緒にお祝いしましょう」
「ありがとうな、白鳥」
白鳥邸には先に烏丸が着いていた。
烏丸はネットで合格発表を見たそうだ。
「二人とも、おめでとうな」
もう受験に受かって自由登校になっている薫が出迎えてくれた。
「さあ、ケーキが待っとるでえ」
白鳥邸ダイニングにはケーキが鎮座していた。
「受験お疲れ様」
白鳥から労いの言葉をもらって、食卓に着く。
薫がケーキを取り分ける。
「いただきます」
「それで、大学の準備をしなければならないわね」
「何、準備すればいいんだ?」
「北川大学は普通に電車で通えるから一人暮らしの必要はないわね」
「一人暮らしの準備が必要なのは僕だね」
「東大受かるとか桜木高校始まって以来の快挙らしいわよ。先生方が、すごく喜んでいたわ」
「4月からは東京で一人暮らし。白鳥さんに会えなくなると思うと寂しさで一杯だよ」
「わいも普通に大阪の大学で家から通うわ」
「入学式でスーツがいるから買っておいた方がいいわ」
「スーツかあ。似合うかな、おれ」
「高村君はスーツに着られる感じだと思うよ」
「あとはレポートを書く用のノートパソコンかしら」
「わいはもう既に持っとるで」
「私も」
「僕は買わないといけないな」
「おれも」
「じゃあ、今度、一緒に家電屋行こうや。わいが良いパソコン見繕ったる」
「そうしてもらえると助かるよ」
「薫がいると心強いぜ」
こうして、おれの大学受験は終わったのだった。
白鳥さんの短編集(高校生編) 夢水 四季 @shiki-yumemizu
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