第33話
責められると思っていたのに意外と何も話が無いの?
「さすがあの【デスヌード】の平田に目をかけられるだけあるね」
葛道は微笑んだ。
その微笑みは悪戯な感じを含んでいるが、どこか悪意めいたもっと、どす黒い物を含んでいそうだった。
「見込まれるのは嬉しいけど、なんかやだな」
俺は心の声が出てきた。
葛道は眼鏡の位置を直すと、口を開いた。
「もしかして、完全に変態化した?」
彼女はおかしそうに笑いながら聞いてきた。
「いやいや、発症はしてない…。自身はないが」
俺は彼女の問いに、言葉を濁してしまう。
「嘘だよ。 別に君が発症してようが、変態になって撃ち殺されようが私には関係がないもの」
葛道は興味がないときっぱりと言い、机におかれた飲み物を口にした。
「けっこうずばり言うんだね」
俺はすこし、引き気味になりながら、言った。
「べつに本当の事だし、私が興味あるにはさっきも言ったけど女の子のことだけ」
葛道ははぁと溜息をツキながら、言った。
「そうですかぁ…」
としか言いようがないし、まぁ、誰が何を好きになろうが俺に干渉する権利もなければ、べつにする必要も無い。
俺はふと思いついたことを問いかけた。
「だから、美怜、彼女が好きなのか?」
「そうよ。私はいずれ美怜を手駒に為てみせる」
なんかいいかたが嫌だな。
俺は思いながら、にが笑いをしてしまう。
「ところで、葛道はここに住んでいるのか?」
年頃の女の子が物騒な基地の中で暮らしている光景はどうしてもイメージがつきづらい。
俺の質問に葛道は、言った。
「そうだよ。なんで?」
「なんでって言われても。」
この場所の状況を見たら、なんとなく聞きたくなるのが人の心境という物ではないだろいうか?
俺は辺りをちらりと見まわす。
完全に、イメージと違っていて、なんだか……、殺風景に感じてしまう。
物がすくないと言えば良いのか、完全に、ミニマリストとでも言えば良いのか?
とにかく物が少ない。
すると俺の何かを察知したのか、葛道はニヤリと笑った。
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