25 大型の獣
森の中を進んでいく。
今まで行ったことのある場所から少し場所へ行ってみる。
今のところ手に入れたも食材はおいしい鳥といくつか木の実を見つけたので、とりあえず確保してある。
イノシシとはまだ出会っていないが食料的には十分な量は確保できている。もう一つの目的だった毛皮は手に入っていないが、このまま家に帰っても問題ない量は手に入っている。ただ、ここまで来たら1つくらいは欲しい。
「時間は……あー、でもそろそろ戻らないとやばいか?」
日の傾き加減からしてすでに昼は過ぎているようだ。今からさらに探し回るとなれば家に帰るころには日は暮れているだろう。
夜になったからと言ってこの体は夜目も利くので問題はない。ただ、帰らなければレナ達が心配するのは目に見え……心配してくれるだろうか?
レナと一緒に暮らすようになってまだそれほど時間が経っていないし、アンジェとミシャに至っては本当に短い。
嫌われているとは思わないが、どう思われているのかわからない。
まあ、相手からどう思われているかなんてわからないから気にしたところで意味はないか。
まあ、心配はしなくても気にはするだろうから今回はここで切り上げて家に帰るか。
帰ると決めたら、ここに来るまで目印をつけてきたので、それを辿って戻ることにする。前にも同じようにしるしをつけたことがあるのでそれと間違わないようにしないとな。
帰りは探索も狩りもせずに移動していたので、行きの半分ほどの時間で家の近くまで戻ってきた。
「――――っ!」
「ん?」
「グオオオォーー!」
そろそろ家が見えてくるだろう場所まで来たところで、家の方からかすかにアンジェの叫び声と獣の唸り声が聞こえてきた。
「ちょっ」
明らかに焦ったアンジェの声に急いで声のもとへ向かう。
木々の間を抜けて家の前まで出るとそこにはアンジェ達3人が熊のような獣から距離をとるように移動しているところだった。
「大丈夫か!」
「大丈夫! だけど家が近すぎてミシャが魔法使えない!」
俺の声で帰ってきたことに気づいたアンジェがこちらに一瞬視線を向けてきたが、家の近くに居座っている熊のような獣は俺に気づいている様子を見せつつも、食べ物の匂いにつられてきたのか、なかなかその場離れようとしない。
熊のような獣はだいぶ大型ではあるが、ミシャの魔法なら倒すのはそこまで難しそうな感じではない。ただ、家に近すぎるためそのまま魔法を使ってしまうと家を壊してしまいかねない。そのためミシャは魔法を使うことをためらっているようだ。
別に家は壊れても直せるから、自衛や事故で壊してしまう分には気にしない。……しないが、どんな理由であれ壊してしまった側は気にするよなぁ。
しかし、このままでは近くにいる3人が危険なままだし、家に近づくことも難しい。
「出てきてほしいとは言ったが、こういう形では求めていないんだよな!」
そういって一気に熊のような獣に接近し、家から距離を離すために蹴りを入れる。
体重差もありそれほど距離を取らせることはできなかったが、態勢を崩すことに成功したので、そのまま首元に向けて風魔法をまとわせた手刀を叩き込んだ。
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