その特徴的な容姿により、本人の性質や思いとは関わりなく〝ギザ歯の悪役令嬢〟
そう称された主人公アマリリス・コイヴィスト。
彼女は、居づらい環境のなか唯一の心よりどころであった許嫁のエドワルド・エルヴァスティから婚約を破棄されてしまいます。
その衝撃の日、自暴自棄になり冷遇されていた家を出たアマリリス。
すべてを終わりにしようと、遠く魔族の国まで辿り着き、街を彷徨い歩きます。
歩けどアマリリスを襲わない魔族。
どうも様子を伺っているようです。
ここで彼女は思うのです。
〝人間の社会では魔族は化け物だが、魔族の街では人間の方が化け物なのだ〟
前半のこの言葉が、物語の設えを表している。私はそう思いました。
人が外見だけを見て本質を見ないことを的確に表しています。
偏見を捨てることは容易ではないのです。
たとえ、ほんとうに大切なことは目では見えないとしても。
そんな人の性質を窺える寓話としても読めます。
でも、それだけではないのです。
この後。彼女はとある出会いにより運命を転換します。
そして、ここから甘やかなラブストーリーが展開されます。軽い〝ザマァ〟要素も盛り込まれます。
手軽な文字数のなかにきっちりと必要な要素を詰められた構成は、とても巧みで面白いのです。
短い間に逆転の恋愛劇と寓意ある物語を楽しめる本作。
まずは少し、眺めてみてはいかがでしょうか?