第7話
正式名称 All Sky Feather
全天の翼と呼ばれる生存圏を拠点に活動
絶対的な自由を掲げ、基本的にあらゆることに対して不干渉としているが自由故のカオスが度々生じ、様々な衝突や戦争に首を突っ込んでいる。
構成人数や推定戦力は不明な点が多い。一方で天翼と呼ばれる指導者が存在しており、天翼を含んだ聖天と呼ばれる13人が最高意思決定機関としてASFを運営していることが確認されている。
「グラス・チェレスタです。 どうぞよろしく。」
その名前は死んだと思われていた者の復活という事実を霞ませるには十分すぎた。
かつていくつもの国家や生存圏を破壊、星さえも地図から消し去る武勲を立てた名であり、現在は聖天の一翼としてASFの最高戦力を担っている。最高戦力故の性として表舞台への登場する機会は激減してもなお、その他勢力への影響力は強大だった。
先ほどまで勘違いとはいえ、反体制派の切り札と思われた人物の排除に成功したことに浮足立っていた政府軍は強烈な悪寒に襲われていた。
「私がここにいるのはただ演奏を聴きに来ただけで、それ以上でもそれ以下でもないんだけどなぁ。 あんたらは我々との争いをお望みか?」
重たい空気が流れる中グラスが口火を切った。ただの言葉のはずなのに敵対者との認識を投げかけられた政府軍は思わず引き金から指を外した。
「そんなことより聞きたいことがあるんだけど。」
グラスはクルっと踵を返すと奏者たちに問いかけた。
「君たちは彼らが来て行われることを知ってたのか?」
そう問われた奏者たちは恐る恐る頷いた。
「なぁぁんだ、じゃあさっきの演奏は演技の本心じゃなくて本物の恐怖から来たものだったのかよ。」
グラスは「ガーン」と効果音が付きそうなくらい大げさに肩を落とした。
「じゃあ、次の機会には君たちの、君たちが本当に奏でたい音を聞かせてほしいな。」
顔を上げグラスは軽くウィンクをとばした。
「今回は不本意とはいえ君たちの心境があそこまで音に乗ってくるほど奏者と音楽が繋がっていた演奏は中々お目にかかれないんだよね。目じゃなくて耳だけど。」
彼らの演奏技量の高さにグラスは無邪気な子供が次を期待するかのような眼差しで、
「今度は君たちの本当の音楽を聞かせて」
と最大の賛辞と期待の言葉を送った。
自由という無秩序が蔓延するならず者国家。ASFと敵対する組織や生存圏は同じ認識を口々にする。
命ある救済を提示する死神。 かつてASFと敵対していた者共は畏怖を含んで言葉を零した。
自由を追求する尖兵。 ASFと肩を並べて戦った者達はASFの戦う意義を評価する。
。 痛みを知りたくて、痛みを分かち合いたいのに 進めば進むだけより辛さだけが深くなることを知った
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