『算数』と『ギルド』というあまり親和性のない単語の組み合わせに惹かれて頁を捲ってみれば、これまた現代ファンタジーと異世界ファンタジーが融合したような新しい物語に出迎えられた。
作中の算数ギルドは、その名の通り算数の問題を制限時間内に解くことで達成される依頼を通じ、主人公である帆月に極限の、最悪の場合は死に至る危険を冒させるというスパルタっぷりで実質的にはブートキャンプの役割を果たしており、帆月が依頼をこなし着実に学力を上げていくさまが描かれている。
現実にこのようなギルドはないけれど、楽しんで勉強するのがいちばん学力を向上させてくれるということを思い出させてくれる、夢と希望に満ち溢れたスタディファンタジー。
十三歳の少女我妻帆月《あがづまほづき》は、なぜか数学だけが壊滅的に苦手。中学生にして九九さえもあやふや。
下校途中、謎の女性に『ガンバレンバレン』という呪文を寝る時に唱えるように言われ、不審に思いながらもその通りにすると、夢の中にセキセイインコが現れ、算数ギルドへと案内されます。
そこで帆月は、数学ができない原因は強力な呪いのせいであると知らされます。
そしてギルドから依頼を受け、その依頼をこなす際に算数・数学の問題が出題されますが、これを誤答したり制限時間をオーバーしたりすると、最悪の場合身体に直接ダメージが及ぶことがあると知らされます。
一桁の簡単な足し算から連立方程式、球の表面積等々、問題の難易度が上がってゆくも、それでも何とか依頼を達成した帆月は、現実の世界で学校の小テストで満点を取り、いつも因縁を付けてきたクラスメイトに一喝飛ばして撃退します。
主人公の成長も見どころですが、何よりラストがスカッと決まり爽快です。サクサク読めるので、是非ご覧ください。
幼気な主人公は、算数が苦手。
誰にもある苦手意識を克服するのは、実は物凄く難しい。
ただ、ほんの少しの『切掛』があれば。でもその切掛がなかなか見つからない。
不思議な世界に迷い込んだのは、偶然だったのか必然だったのか。
『幸運のインコ』に出会える確率すら未知数のなか、ダンジョンをクリアしてゆくのもまた『才能』らしい。
『生命の遣り取り』を、笑う事勿れ。
幼い者には充分過ぎるほどの試練。そして勇者は強く大地を踏みしめる。
覚悟を決めて準備努力した者にこそ幸運は約束される。それを裏切らない、感動的で極上の物語だ。
カッコ の中は = で凡そ決着。