第5話
「なん…で?」
「聞いたことない?この病院での転落事故。」
「十数年前の…俺と同年代が屋上から転落したって…。」
「でもね、あれ、事故じゃないの。」
「え、じゃあ…。」
「私ね自殺したの。」
意味がわからなかった。
だって、あんなに明るいサクラさんが自殺なんて。
「僕、今日、サクラさんと一緒にいたいって…そう言うつもりで。」
「…ごめんね。私じゃ一緒には…」
「連れ帰れないじゃんか!!!」
「…ん?ちょっと待って、そこなの?」
「そこじゃないの?」
「もっとあるじゃない。『騙してたのか』とか『軽蔑した』とか。」
「だって、サクラさんはサクラさんなんでしょ?それとも、僕と会っていたサクラさんも偽物?」
「それは違うわ!シオンと話す時間はとっても楽しくて早くきてくれた時は心が躍ったし、いつもより遅い時は大丈夫かって心配になったわ。」
「なら、何も変わらないよ。僕は、サクラさんを好きになったんだから。だから幽霊って知って少し残念。無事に成功したし、サクラさんとおんなじ家に住んで家族になりたかったのに。」
「…グスッ」
「ちょ、泣かないでよ。」
「ありがとうね。シオン。」
「こちらこそありがとう。サクラさん。」
その時、サクラさんの体が光り出した。
まるで、天に導かれるように。
「サクラさん?!待って!!」
「いいの、私は満たされた。」
「僕がよくない!待って!サクラさん!!」
「シオン、『----------------』またね、ありがとう」
「…ありがとう!サクラさん!ありがとう!」
彼女は微笑んで、空に吸い込まれていった。
光に包まれて、微笑むその姿は天使か女神のようで僕はいつまでも忘れることはできないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます