第4話

いつも通り、階段を登る。

サクラさんの待つ屋上へ向かう。


「来たよ。サクラさん。」

「シオン。いらっしゃい。目の調子はどう?」

「正直、まだわからない。」

「え?」

「最初に見たいのは、あなたの姿だったから。今まで目を開けていないんだ。」

「…あなたが目を開けたら、どんな形であろうとも、私達の関係に変化が訪れる。言うなれば、パンドラの箱よ。それでも、私の姿を見たい?」

「うん、気持ちは変わらないよ、サクラさん。正直、目が見えなくなってからの僕の世界は面白くなかった。でも、あなたが僕の世界を彩ってくれたんだ。」

「そう…。じゃあ、目を開けてみて?」


僕の目に飛び込んできたのは、彼女の…


「そう、足はないし、体は透けてる。私ね、幽霊なの」

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