第19話
大森さんはすごくフランクな感じで、すぐ打ち解けた。
更に、大森さんは世間的にお嬢様学校と呼ばれる学校に通っていると言っていた。
「こんな、放課後に遊んでたら怒られちゃうね」
なんて、笑いながら話した。
「で、君も合コンのつもりできたの?」
大森さんはティーカップを傾け尋ねた。
「まあ、最初はそう聞いてました。でも」
「でも?」
ここにいる人の大半、いや全員そういうつもりで来ている。
なので、僕の言葉に大森さんは目を見開いた。
「でも、今は大森さんと話しているのが楽しいです」
「何だそれ」
大森さんは、笑い混じりに言う。
「それって、私狙ってるの?」
「え?そ、そんなつもりはないです」
突然言われ、僕は顔を赤くして否定した。
「あははは。だよね~。君ならそう言うと思った」
「そうですか?」
「うん。なんか、君はいい子って感じ」
大森さんはニカッと笑い僕もつられて笑った。
「趣味ですか?」
「ああ、君のことを教えてくれ」
趣味、と聞かれ少し考えた。
まあ、僕の趣味と言ったら漫画だったりアニメだったり。
いわゆる、サブカルチャーと言われるやつだ。
この場に出る単語ではないと、躊躇っていると。
「難しい?私は、ゲームとかよくするよ」
「え?そうなんですか?」
あまりにも、見た目に合わない単語に驚いた。
「あ、見た目に合わないとか思った?」
「いや、そんなことは・・・・」
「うそだー」
大森さんはケラケラ笑う。
「いいよ、よく言われるから。そもそも、こんなお金持ちです!!みたいな見た目だけど、中身はさながら、漫画でよくいるオタクに優しいギャルみいな」
自分で言うのは、恥ずかしいけど。
大森さんは、少し顔を赤くしてそんなことも言った。
確かに大森さんには緊張せずに話せている気がする。
でも、距離感は分からない。
どこまで詰めていいのか。大森さんは特に気にしていないようだが、やはり気を使ってしまう。
「僕もゲーム好きです。あと、漫画とか」
「お、いいね。最近どう?なにか面白い漫画ある?」
大森さんは予想以上に食いついてきて面食らってしまったが、すぐに僕は好きな漫画の話をした。
大森さんは僕が名前を出した漫画は全て押さえていた。
まあ、有名作ばかりというのもあるかもしれなが。僕らは時間も忘れて漫画や、ゲームについて話した。
「いや~、君とは話が合うね」
「はい」
僕は、呉以外の相手とこんなに話したのは初めてだった。
ティーカップに入った紅茶はすっかり冷めていた。
冷めた紅茶で喉を潤す。
「あ!そうだ。連絡先交換しよ。次は、家に招待するよ」
「え?いいんですか?」
いきなりそこまで、話が飛躍するとは思っていなかった。
「モチのロンだよ。ほらほらスマホ出して」
「はい」
僕は、ポケットに入れていたスマホを出し電源を点けると十数件の通知と5件の着信が来ていた。
「む?もしかして、親かい?」
僕がスマホの画面を見ていると大森さんが聞いてきた。
「いや、幼馴染です」
そう、全て夕からだった。
「むむ。幼馴染!!いいな~、私幼馴染いないから。その幼馴染は女の子?」
大森さんがなにか言っているが、頭に入ってこなかった。
僕はすぐチャットを確認する。
『何時に帰ってくるの?』
『ご飯ないから、せっかく美味しい唐揚げだったのに』
『おい。電話でろ』
『今どこ?』
『電話出て、それと・・・・』
『早く帰ってきて・・・・寂しいよ・・・・』
「帰ります」
「え?どういうこと?」
大森さんは、目を白黒させているが僕は気にせずリュックを背負って部屋を出た。
「ちょ、ちょっと、連絡先は?」
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