3-14 記憶・記録(アカシックレコード)3
再び場面が切り替わる。
確実に言えるのは、これ以降は
なぜならこの時すでに…
☆★☆★
感染者は数日間の微熱の後、数日間かけて四肢の末端から神経細胞を破壊され、随意運動機能と感覚機能を失い、やがて脊髄の神経を破壊され死に至る。
仮称は「急性ALS様症候群」とされた。
ニュースから数日のうちに日本国内、特に
政府は、当初未知の感染症という事でエッセンシャルワーカー以外の人流を完全に遮断、同時に感染源の特定をする調査を開始した。
そして大学内のある施設にたどり着いた。
幸いなことに、徐々に感染者数は落ち着きその後初期感染者からの感染が確認されなかったので、政府の対応をマスコミを巻き込んで野党が猛追及を始めていた。
政治への影響は大きかった。
マスコミの誤報や憶測、切取り報道。そして野党からの不確実な情報のリークなどで、直後の統一地方選挙にて与党は大惨敗。与党執行部は総退陣という事態にもなった。
内閣改造後も継続して原因を追究する中、初期に罹患したある患者を追跡調査したことによって、ある疑惑が浮き上がってきた…
研究施設からの故意の漏洩事故の可能性。
さらに調査を続けていると… この感染症はある大学の施設から人為的に持ち出され、引き起こされたという証拠が次々に発見されていった。
施設内の監視カメラの記録映像によって、ある関係者(
そのサンプルはある画期的な手法を考案した研究者(悠斗)が失敗作として管理していた細菌であり、関係者であった同僚の(
さらには過去にその研究者(悠斗)による少なくない研究成果の一部が、関係者であった同僚(
彼は管理不足による漏洩事故に見せかけるために、同じように保管されていた初期の失敗細菌の入った試験管の中身を研究室内にばらまいていた。
そのばら撒かれた細菌に
しかも
その
しかし破損に気が付いた亜土留はサンプルの入ったバックを放置して、いち早く逃げ出していたことも明るみになった。
そもそもサンプルのマイクロマシン入りの試験管は、既に臨床試験の為に国内の医療機関にすでに送られた後。研究室には残っていなかったのだ。
逃走した
一月後、首相会見によってすべての事実が明らかにされ、WHOも世界初のBSL《バイオセーフティーレベル》-4施設初の大規模漏洩事故と認定した。
当然、捕らえられた彼を含め、話を持ち掛けた外国資本の製薬会社の関係者もその事故責任を問われた。
だが
そんな
その弁護士は売名の為に加わっただけであったが…。
数日後、自衛隊の手によって留置施設から医療施設に
極秘に移送され隔離され精神鑑定を行うはずだったが、一部のマスコミにその弁護士が極秘であった移動時間や移動ルートの情報をリークした。
結果、マスコミ関係者が大挙して取材合戦を繰り返すことになった。
上空には取材のヘリコプターが飛び回り、自衛隊の特殊車両の後方からはカメラマンを載せたタンデムの2輪車が何台も追いかける。
拘束具を着けられた亜土留を移送していた特殊車両は、やがてとある県の自衛隊の管理医療施設の近づいていった。
管理医療施設の直前の交差点で、急遽設置された規制線を突破したタンクローリーが特殊車両に突っ込んできた。油槽から大量のガソリンは漏れ出し、ガソリンに引火して特殊車両が炎上する。
自衛隊員は大怪我・大火傷をしながらもなんとか車両から脱出。だが拘束具を着けられ身動きの出来ない
翌日にマスコミ各社に動画データがばらまかれた。差出人はタンクローリーを運転していた人物。
動画の内容は理不尽な細菌漏洩事故によって家族を失った悲しみ、
売名行為で参加し情報を漏洩した弁護士をはじめ、扇動したマスコミや一部の捜査関係者は… 一般市民の猛烈な非難にさらされた。
☆★☆★
なんてことだ、そんな事が起こっていたのか… …だけど、それをどうすることも出来ない。すでに起こってしまった、前世での世界の出来事なのだから。
ハルトの周囲の光はいつの間にか消えて、周囲がどんどん暗くなっていく。その暗がりに引き込まれるように沈んでいく…
「なんだっけ… さっきまでのが…走馬灯…って言うのか……な……」
目が覚めると、カーテン越しに日が差し込む部屋のベッドに寝かされていた。
「ここは何処なんだ?」
頭の中が混乱していた。
「たしか
誰かが部屋に入ってきた。入ってきたのは、白衣に身を包んだ同じ寮のハルエさんだった。
「ハルト君、目が覚めたんですね。
すぐに先生を呼んできます。」
「ちょっと待ってください、ここは何処なんですか?
あれからどれぐらい経ったんですか?」
「医薬学部の施設ですよ。
あの日から三日前に
じゃあ、先生を呼んできますから。」
そう言って足早に部屋から出ていってしまった。
まだ聞きたいことあったのにな。
しばらくして白衣を纏った壮年の男性と共にハルエが戻ってきた。
その男性はハルエさんの先生でかなり有名な方だという。名前はヒデイヨ・ノーグチと言っていた。
診療が始まってから気が付いたが、右腕は包帯と石膏でガチガチに固められて、手の半分ほどだけが出ていた。
瞼の下、口の中…あちこちを覗き、いじくりまわされた。
「うん、出血による貧血症状は改善してきたね。
腕の方だけど、肘を曲げて掌を上に向けてみてくれるかな?
”痛い!” …傷口の奥深くから痛みが走る。
「次は手の向きはそのままでいいから、この指を握ってもらえるかな?」
僕は右手に差し出された壮年の男性の指を恐る恐る握る。
「もう少し強く握ってみようか。」
握ろうと力を込めると、先ほどよりも強い痛みが走る。
「もういいよ。
…ふむ… 手首と肘も固定したほうが良さそうだな。ハルエ君、準備を。」
処置が終わると僕の右腕は、指先だけがわずかにのぞいた白い丸太になっていた。
「最低5日間はこの状態で様子をみることにする。
治療院内を歩くのはかまわないが、無理はしないように。」
診察と処置が終わると、ヒデイヨ先生はそう言い残して次の患者の診察へ向かった。
「寮に帰ったら、心配していた皆さんに目が覚めたことを伝えておきますね。
あとで看護する人が来てここの治療院の施設の説明をしてくれますから。」
ハルエさんは、治療器具をまとめてさっさと部屋を出ていってしまった。
しまった… トイレの場所だけでも教えてよ!
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