3-7 罠の発動
依頼を受けたウジマとマンダウの目論見は…
彼らに借金をしている学生を集めて、5階層の部屋を攻略している最中に襲撃する。5階層の部屋に割り込むと、追加で10人分の魔物が
ゴーレム使いとその仲間を探索中の事故に見せかけ始末できれば上々。最低でもあのゴーレムを
手伝った奴らも生き残ってベラベラ話されるのもまずい。あいつらにも一応軽い怪我をしてもらって、女と一緒に医薬学部の治療施設に運んで…
そこで弱みを握っている医師の卵に口封じをさせる。その手筈も整っている。
いろいろ調査されようが構わない。そのすべての悪事が発覚する頃には、学術院を辞めて皇都内のアジトに潜伏して羅竜として活動を始めているはずだ。
だが問題はゴーレム使いとその仲間達… ゴーレム使いを含めたあいつらの実力が高いという事だ。
エモリの糞野郎もゴーレムなしでも俺やマンダウと同等、政経学部のマチカって奴も侮れん、そこに加えて軍学部のマヨーリ。3人の一年生を無視しても借金で縛った雑魚共との実力差は明らかだ。そのまま何の手も打たなければ間違いなく失敗する。
そこでウジマは
メレオンという魔物の魔石を錬金して作り上げた【不可視化の腕輪】というアイテムだ。装着した状態で魔力を流すことで、不可視化の腕輪を付けた者同士以外の目から見えなくしてしまう。
この魔道具を使えば不意打ちが出来る。
今回の襲撃者には軍学部に在籍中の奴もいるが、これで力関係は完全に逆転しているはずだ。
懸念材料はかなり魔力消費率が高く、学生の探索者なら長くても15分ぐらいで魔力枯渇に陥ってしまう。時間との勝負にはなるが…
たとえあの部屋内で仕留められなくても、体力を消耗して出てきた時に俺とマンダウで仕留めれば問題は無い。
彼らはエモリ達より先に
★☆★☆
食事を終えた僕たちは野営に使ったテントなどの道具をまとめて、
すぐに5階層に下りる階段に到着して、隊列を再確認して降りていく。
下りきった階段前は一辺25mほどの広場になっていて、そこから3方向に通路が伸びている。階段の左後方にある
5階層の通路部分もかなり広く、
部屋は3つ。各ルート共に魔物や先行者がいないことを確認してカエデが戻ってきた。
「通路に魔物無し、どの部屋も先行者無し。
まーた小難しいこと考えてたっしょ、再試験前みたいに変な顔になってるよ。
難しく考えない、選びたいホーダイ! どれにする?」
軽い調子でカエデが報告した。初めての5階層で知らず知らずのうちに緊張していたらしい、一気に場の空気が弛緩する。たまに場をわきまえずに軽口をたたくカエデだけど、そのおかげで少し緊張がほぐれたな。
正直なところどの部屋でもそんなに変わることは無いと思うけど、最短ルートを狙える真ん中の部屋かな?
「真ん中の部屋に行きましょう。
先行者が全くいないのであれば、最短ルートで探索できる可能性があります。それに、ここで時間を潰していると、他の通路から魔物がこの通路に入ってくるかもしれませんし。」
「わかった。打合せ通りに
カエデ、脱出口の位置確認は任せた。みんなには移動するまでの時間稼ぎを頼むぞ。
よし、行くぞ!」
入ったらすぐに盾役になる
突入した部屋の大きさは、エスギーの館の訓練場と同じぐらいで大体200m四方、天井が光っていて周囲もはっきりと見える。訓練場と違うのは平坦で足元に障害物がない事ぐらいだ。そこに居たのはゴブリンが9匹、ウルフが8匹。平均は15匹程度だから少し多い。
カエデが指をさした場所に脱出口がある、そこを目指して壁を背にしながら少しづつ移動していく。
複数で素早い動きで襲ってくるウルフに対して、
じわじわと、だが確実に脱出口前の位置まで移動していく。
脱出口の前に到着すると陣形を整える。
ウルフは全て討伐が終わり、残りは手負いのゴブリンが3匹となったのでゴブリンはマヨーリさんに任せて、魔物に止めを刺しながら素材の回収を始める。
回収といっても、ウルフは内臓を引き摺り出して、魔石のみを回収。内臓の無いウルフの死体は、麻袋に入れてから収納袋に詰め込むだけで後は中央管理棟で買い取りをしてもらう。肉も食べれないことは無いが、はっきり言って不味い。最終的に毛皮だけ剥ぎ取られて、肉や骨は肥料に加工されることになる。ゴブリンも魔石だけを取り出し、持っていた錆びた剣などを回収して死体は一カ所にまとめる。
★☆★☆
「入っていったな。真ん中の部屋だな。」
「ああ。ご丁寧にゴーレムも出してくれてるな。
おらおらおら! てめぇら! バイトの時間だ! さっさと行けよ!」
ウジマとマンダウにそう促された彼らは重い足取りで
彼らにもまだ迷いは残っていた。
「なぁ… どうするんだよ…」
「どうもこうもやる… しかねぇよ…」
「借金… なんであんな奴にしちまったんだろう…」
「このままずっと… あいつらの言いなりになるのかな…」
「おれ… もう殴られるのはいやだよ…」
部屋の前で躊躇していた彼らの後方から怒声が聞こえた。
「てめぇーら! 何ぐずぐずしてやがる!!
それとも今ここでまた殴られるかぁ? こいつをぶっ刺してもいいんだぞ!」
彼らが振り返ると、そこには
「「「「「「ヒィ! 行きます! 行きます!」」」」」」
「わかってんならいいんだ。あぁそうだ、一つ言い忘れてたわ。
メレオンの腕輪に魔力を流すのは、部屋に入る直前にしろよ。姿が見えたら魔物に襲われっからな。
おらぁ! さっさと行きやがれ!!」
彼らが中央の通路に消えたのを見届けると、マンダウは
★☆★☆
ウルフの入った麻袋を回収していると、天井からの光が明滅して弱くなった。みんなもその変化に気が付いて回収を中断して周囲を見回す。
気が付くと床のあちこちに点々と赤い光が灯り始めた。
マチカが叫んだ。
「魔物が
みんな
魔物が入った麻袋を放置して
「マチカさん! 脱出口が!!」
「なにが起こったんだ? 誰かが入ってきたのか!!」
僕たちが
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