2-2 228寮生
廊下を進むと右側にドアが5つある。つまり5部屋?
その反対側には開口があり、風呂やトイレ、洗面所になっている。
「見て頂いたように、左側も同様になっています。
この寮には全部で10部屋、そのうち予備が2部屋となっております。
8名が同じ寮に入ります。
勉学や研究に専念できるように、寮には一棟ごとに専属の使用人がおります。食事や掃除・洗濯などは任せていただいて構いません。」
何だが想像していた寮と全く違うんだけど。
ともかく自分の部屋を確認する。それぞれの個室にも鍵はついているが、この鍵は学生証と連動はしていない。部屋は6畳ほどでベッドに机、書棚とクローゼットは作り付けで用意されていた。
余計な荷物は部屋に置いて、メモ帳とペンを持って居間に戻る。
鍵と学生証を確認して施錠し馬車まで戻る。
「各学部のカリキュラム説明は抗議の初日に行われます。その内容を確認してから参考書籍などを買うと良いでしょう。
では、次に参ります。」
その後、医薬学部、軍学部、政経学部と廻って軽く説明を受け中央管理棟に戻ってきた。各学部の敷地は軍学部が圧倒的に広かった。当然と言えば当然かもしれない。
各学部を一回りしながら説明を聞いて分かった事。
手元のメモによると、皇都学術院の中央管理棟にある5つの学術本部は、正面入り口を上にした場合、それぞれの角に右回りに…
正面入り口→【政経学部】→【軍学部】→【医薬学部】
→【魔導学部】→【農学部】の並びになっている。
政経学部は、その隣に武力である軍学部や生活基盤となる農学部があり、軍学部の遠征計画立案・兵站の管理実習などを通じて軍学部とは関係性が深い。
軍学部の隣には政経学部と怪我などが発生した場合に治療が出来る医薬学部。とにかく軍学部は怪我人が多く、学生の数も一番多い。
医薬学部の隣は、軍学部と並んで、ダンジョン探索などで怪我人が多く出る魔導学部。怪我人を受け入れることで治療技術の向上を目指している。悪く言えば、軍学部と魔導学部は簡単に手に入るモルモット供給場所。
魔導学部の隣は、医薬学部と農学部。農地改良などに使う
農学部の隣は、魔導学部と政経学部。農産・畜産・水産物などの効率よい流通計画や商品開発を連携して行っている。農学部の品種改良で生まれたものは皇国の各地で栽培されていて、ここ何十年と飢饉などが発生したことは無い。
それぞれが両隣の学部と連携し、学術院を卒業しても即戦力となる人材として各地で重用されている。
ここ10年間の学院生数の比率はおおむね、2:5:2:1:3…
新たな
学術院の隅々まで案内された。
教室棟の周囲以外にもあちこちに店舗などがある。さながら小さな村が集まった一つの街といった様相だ。
最後に皇都学術院の中央管理棟の中心にある皇都
通称
全150階層からなる皇国有数の規模の
だけどこの
そのおかげで上層から下層に向かって攻略を行うことで、効率的な訓練が行えるようになっている。
でも僕が実際に実習で入れるようになるのは、早くても半年後の認定試験に合格してからとなる。
228寮に住み始めてから数日間、今だ寮生は僕一人。
今日も朝からランニングをして、イエーカーさんから貰った木刀を振り体を動かす。
傍目からみたら「自己流ではなく事故流だな!」といったダメ出しの声が聞こえてきそうだけど、しっかり身体を動かす。
木刀の素振りを終えたら、無手の型の稽古。キガクレ先生が教えてくれた型を時間をかけてしっかりと行う。旅の準備でさぼってなかったら、あの時に怪我をすることは無かったのかな?
運動後には自己治癒術の訓練。
今では自己治癒術の応用の、身体部分強化もぎこちないが出来るようになった。
2時間ほど汗を流してシャワーを浴びてさっぱりすると、自室に戻って教科書を開き予習に取り掛かる。予習が終わるとお昼ご飯を食べに教室棟近くの食堂に行く。
食後には教室棟の裏に行き、先輩たちの訓練や実験を眺めて過ごした。
今日も魔道具が暴走して爆発事故を起こしている。先日来た時立ち昇った土煙も、いま実験をして暴走させた先輩の仕業らしい。
数日後から始まる新年度の講義、その準備の為に228寮へ次々と学術院生がやってくる。使用人の方も到着したので、ようやく自炊と外食から解放された。
明後日から講義開始となるが、まだ2人程寮にやって来ていない。
とりあえず今夜は、いま居る寮生だけで顔合わせを行うと言われた。音頭を取ったのは1号室のエモリ先輩だ。
4年生で魔導学部では名を知られたゴーレム使い。高さ5m、重量8トンの大型ゴーレムを自在に操るという。正直うらやましい。
使用人のツバキさんが次々に料理を作りテーブルに並べていく。
はっきり言ってツバキさんの料理はものすごく美味。
『何か食べたいものはありますか』
と聞かれて川魚料理をお願いしたら、フナトさんと一緒に行ったあの老舗の味以上に美味しかった。
そんなツバキさんの料理にパラパラと集まってきた寮生も目を輝かせている。
顔合わせも始まり、自己紹介をしつつ料理を堪能する。
1号室は先ほども言った4年のエモリさん。ゴーレム使いだ。
2号室は、3年生のマチカさん、政経学部なのにわざわざ見分を広めるために魔導学科に転籍してきた変わり者。
3号室は僕だ。出身とゴーレム術が使えることを話す。するとエモリ先輩がいろいろ教えてくれると約束してくれた、頼もしい先輩だな。
4号室は、2年のマヨーリさん。軍学部だったけど、怪我が長引いて体への負担が少ない魔導学科に転籍してきたそうだ。
右側は4人、全員男性で固められている。
左側には女性が集められていた。
6号室は、ハルエさん。医薬学部の3年生。3年生だと少なくとも今年からあと4年は学術院に在籍することになる。
医薬学部の寮の一部が入所医療施設に変更になって、くじ引きで外れてこの寮に来たらしい。
ハルエさんの顔立ちが誰かに似ている気がするんだけどな?
7号室は入寮者が姿を現していない。
8号室は、サキさん。2年生でエモリさんの妹だという。農学部の畜産学科、獣医を目指しているらしい。でも本人は馬や牛じゃなくて、犬や猫の方が好きだと言う。
それよりもっと好きだと言うのが兄のエモリさんらしい。
この寮に大型犬を2匹、小型犬と猫と1匹つづ連れてきている。寮として問題ないのかな?
9号室も入寮者が現れていない。
入寮を終えてない二人は、新年度の講義開始に間に合うのかな?
顔合わせで気になることがあった。僕以外の5人の寮生の仲が非常に親密に感じる。時折、僕だけが理解できない方言が混じる。
とはいえ、美味しい料理で顔合わせもつつがなく終わり、解散してそれぞれ自室に戻っていった。
翌朝もほとんど日課と化した学部内一周のランニングをして、寮の庭先で木刀を振る。
「面白い剣筋だね。」
その声に手を止めてふり返ると、マヨーリさんが立っていた。
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