本作は、作者の創造力が全開に発揮された、まさに真のオリジナルハイファンタジー作品でした。固有名詞も頭の中のイメージから丁寧に紡ぎ出されており、世界観の細部に至るまで独自の色彩が感じられます。

特に印象的だったのは、「天の沼矛」と「カマボコ」を結びつけるユーモラスな発想で、作者の柔軟な感性と遊び心が伝わってきました。物語の壮大さと相反する軽やかな語り口が、読み手に親近感と好奇心を同時に抱かせる巧みなバランスを作り出しています。