第3話 エミvsシン
屋敷でのあの事件があってから三ヶ月ほど過ぎた頃か、私は草木山、足場が悪い中行く宛もなく彷徨っていた。歩けば歩くほど体力が消耗し、屋敷での暮らしがいかに楽だったかを思い知らされてるよう。
私はいつものように彷徨っていたのだが、その日は生憎と天候が悪く、雨が降り出してきた。すぐに雨宿りをする為に、今ある体力で可能な限りを走った時私は誤って左足が滑り、左側の崖へと滑り落ちていった。身体中全身痛みと苦痛、空腹が私を襲った。
「うぅぅ、、、からだが…、うごか、ない
これは神からの私への罰なんだ、、」
私はその後の意識がなく、鋭い雨に打たれながら自然に身を任せた。頭の中は暗闇で何も見えない。
奥に何かしらの光が灯っていた。その光は徐々に大きくなり、そしてハル兄様の姿が見えた。
「エミ、エミ聞こえる?」
私はハル兄様へと手を伸ばす。だがハル兄様の体を突き抜けるように手が触れられない。私はあの世に行ってしまったように感じた。
「エミ、いい?よく聞いて、エミは無能なんかじゃない。僕は君を信じるよ、たとえ世界が君を迫害しても、僕だけは、僕だけは……」
私はその途端意識が戻り、ゆっくりと瞼を開ける。そこには見慣れない天井、そして広いベット、左側にはメイドのような人が立っていた。
「お目覚めになられましたか!?今シン様にお伝えに参りますので、もう少しお休みになっていてください!」
メイドは少し駆け足で部屋から出て、シン様?という人を呼びに行ったらしい。私は改めて助かったようだと体全身で感じた。腕を見てみると包帯が巻かれており、綺麗に手当てまでしてあった。服は新しい服になっており、今まで来たことのないような、水色のワンピース姿だった。それから数分後、部屋の扉が開きある男の人が入ってくる。その男の人は見た目は私と同じかそれより下ぐらいの年齢、黒髪で、白色のロングコート着ており、左腰には剣が入っている鞘があった。
「気がついたんだね!良かった。たまたま僕が山で鍛錬をしていたら君を見つけてね」
私はゆっくりと体を起こす。
「ありがとうございます。助けてもらった上に、怪我の手当てまで…」
「怪我をしていたら助ける、当然のことをしたまでですよ」
「君の名前は?」
「私はエミ、あなたは?」
「僕はシン・フォード、気軽にシンと呼んで!」
「それより食事にしよう!そろそろ昼食ができるからなんだ」
私はシンから差し出された手を掴み、食卓へと向かった。食卓には右を見ても、左を見てもメイドの姿の雇われ人が立ち並んでいた。長方形で長いテーブルの先には豪華な食事が並んでおり、私は座席はと案内される。そこから私はゆっくりと料理を口に運び空腹を満たしていく。
「ねぇ、君はどこからきたの?」
私は少し戸惑いなかなか口にすることができなかった。それに気がついたのか、シンこれ以上の追求をすることはなかった。食事を終え私は自分が寝ていた部屋へと戻る。剣立てに入っていた源刀を手にし、私は庭へと出向き鞘から刀を出す。そこから一振り、又一振りと鍛錬を続けた。日が沈み始めた頃
庭にシンが夕飯の報告をする為に私の元へ来た。そんなシンだが、私の鍛錬をじっと見つめるように見てきた。
「そろそろ夕飯だよ、、ってエミ筋がいいんだな、どれほどの鍛錬を積めばそこまでに辿り着くのかもわからないレベルだ」
「ねぇエミ、怪我人とやり合うのはあまり好きではないけど、僕の心が疼くんだ。もしよければ、少し試させてくれないかな?」
シンは鞘から剣を抜き始めた。その剣は白く鋭くまるで宝石のようだった。
少し腕が痛むが、体慣らしには丁度いいと思い刀を抜いた。それにシンと会ってから悟ってはいたが、シンは強いと確信していたからだ。
「わかったわ、シン相手してあげる」
「ありがと、それではいくよ!」
シンはものすごいスピードで私へと向かい剣先を私に向けてきた。私はその剣を右にステップしかわす。かわしたと思った瞬間シンは地面を蹴り上げ進路を速やかに変え、次は剣を下から上に振り上げるようにして襲いかかる。
我は汝を時から解き放して悪を滅ぼす者なり。
斬撃一刀!
私は刀を剣へと向けて振り翳した。剣と刀はぶつかり合い、互いに譲る気はなくなかなか動かない。
「やっぱり、思った通りだったよ。エミ、君は何者だい?」
「私はただの魔術使いよ!」
私は剣を刀で受け流すように流し、一回転しさらに刃をシンへ切り刻む。シンは後ろに引き、刀を一度鞘に収めた。
「シンの名の下に我の力を呼び覚ます!
多斬切断ッッ!
シンの剣は素早く突き刺すような動きをする。早すぎて残像が見えるぐらいだった。
「我は汝を時から解き放して悪を滅ぼす者なりッ!
身体強化ッッ!
私は自分自身にバフをかけ、身体能力を最大限に引き上げシンの多斬切断を全てかわす。隙をつき私はシンの足元へとしゃがみ、足を蹴り飛ばしシンの体制を崩した。シンの目の前に刀を突き出す。
「ま、参った!降参!」
私は刀を鞘にしまい、シンへと手を伸ばす。
「大丈夫だった?シンの攻撃が凄くて、つい私も…」
「ハハ!笑、僕は大丈夫だよ、それにしてもエミの立ち回りは凄かった、到底真似できそうにないな」
シンは私の手を取り立ち上がった。そしてお互い服の汚れを手で払いのけた後、夕飯を取る為に食卓へ向かう廊下を歩いていた。
「その魔術は誰に教えてもらったの?」
「これは、教えてもらったわけではないの、私が編み出したオリジナルだから」
シンは驚いた顔をし、私を見つめてきた。
「オリジナル!?エミの底が見れないや笑
怪我人とはいえ、あれほど動けていたら問題なさそうだな」
シンは戦いながらも私の怪我のことを少なからず思っていてくれたようだった。確かにシンは多斬切断の時、私をほんの少しだけ避けてたように思えた。だが威力は本物だった。もしあれが私に当たれば流石の私でも重症避けられなかった。
「なぁエミ、又気が向いたらたまいいから一緒に対決しような!」
「うんいいよ、楽しみにしてる」
そんなことを話しながら私達は食卓へ向かった。
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