☆ギラファスとの決着! また、やらかしてしまいました!①
「ガーラ……あなた一体、
「な、何って、別に何もしてないよっ、アルも見てたでしょ?」
慌てて無実を主張したけれど、明らかに様子のおかしいギラファスを前にして不安が募り、落ち着かない気分になった。
ボクは無意識のうちに、何か
確かに、柄にもなく、感情まかせに怒鳴りつけてしまったけれど、ただ、それだけのはずだ……
そうは思ったけど、興奮し切って冷静さを欠いていたのも事実だ……
なので今一度、ボクは、ギラファスに詰め寄った時の状況を思い返してみることにした。
(ええっと……ギラファスが、無神経に『王家の再興』なんて言い出したから、頭に血が上って……それと同時に、両目が熱くなったっけ…… あっ! この時、瞳に神気が宿っていたような気がする!?)
思い当たる節があったことで、ギクリとしてしまった。
(で、でも、相手は天界人のギラファスだ。多少の神気ならきっと大丈夫……)
ボクは、自分にそう言い聞かせると、続きの状況を思い返した。
(それで、感情のままに怒鳴りつけてしまったんだけど……ほんの少し……その……言葉にも神気が混ざってしまったかもしれない……っで、でも、そのくらいなら大丈夫……だ……よね?)
ほんの少しだから……と、そのことについては、あえて見て見ぬふりをし、ボクは最後の場面を思い返す。
(最後に、ギラファスのことを睨みながら『解放しろ!』とか『自主しろ!』なんて命令口調で……って、ん? アレ? 『言葉に神気の混ざった状態で命令』って……これって “言霊„ になってるんじゃ……?)
さらに、この時、ボクは眼力に神気を込めて、容赦なくギラファスにその力を叩きつけてしまったような気が……しないでもない……
マズイ……心当たりがどんどん出てくる……
「えっと、その……ギ、ギラファス? 大丈夫?」
罪悪感に苛まれて、具合の悪そうなギラファスに近づくと、ボクはその二の腕にそっと触れた。
「ぐぅっっ!!」
途端に、ギラファスは苦しそうな呻き声を上げたかと思うと、服の上から心臓の辺りを鷲掴んで、片膝をついてしまった。
「うわあぁっ!! た、大変だっ! アルっ、どどど、どうしよう!?」
いくら天界人が長寿とはいえ、下界人に例えると『初老』といえる年齢のギラファス。
しかも、ギラファスの肉体は、ついさっき封印から目覚めたばかりだ。
寝起きに冷水を浴びせかけられたのと同じで、ボクの神気が、ギラファスの体に大きな負担となったのに違いない。
きっとそれで、心臓がビックリしてしまったんだ!
「そ、そうだ! 『回復』っ!」
「あっ! ガーラッ、ちょっと待って!? もしかしたらコレはっ——」
アルが何か言いかけてたけど、心臓発作の救命活動は一分一秒を争う。急病人を目の前にして、じっくり話し込んでいる場合ではない! 処置が遅れれば、どんな後遺症が残ってしまうか分からないんだ!
ボクは、急いでギラファスの頭上に手のひらをかざすと、『
手のひらから降り注ぐ黄金の光を浴びて、強張っていたギラファスの体から、徐々に力が抜けていく。ふぅ、なんとか間に合ったみたいだ……
安堵に胸を撫で下ろしていると、片膝をつき、うつむいたままだったギラファスが、その顔をゆっくりと上げた。
そして……
「うっ……!?」
何を思ったのか、真剣な眼差しでボクの顔を真っ直ぐに見つめてくる……
そのまま、一向に動きを見せないギラファス。
そんな彼と、こうして向かい合っているのは……とても居心地が悪い。
無意識とはいえ、ボクが『神気』や『言霊』をぶつけてしまったから怒っているのかな……? でも、謝るのも何か違う気がするし……
「えぇっと、……ぐ、具合はどう?」
そんな空気感に耐えかねて、ボクは視線を彷徨わせながらも、一言だけ、そう声を掛けてみた。
そして、ギラファスの出方を待った。
「…………はぁ」
長い沈黙の後、突然、ギラファスは目を伏せると、諦めたように深いため息をついた。
「我輩の、負けだ……」
「ま、負け??」
体調を聞いただけなのに、勝敗を告げられてしまった。
そして、ボクが勝利しているらしい。
ギラファスの言う『負け』が何なのか、今ひとつ分かりかねていると、アルまでもが諦めたような深いため息をついた。
「はぁ、ガーラ……あなた、これから大変よ?
「ど、どういうこと!?」
ギラファスの面倒って!?
ボクが目を白黒させていると、アルが、ちょっとだけ真剣な声色で話し出した。
「あなたが、スキル『王者の洗礼』を使って、ギラファスを信者にしちゃったってことよ」
「はっ!? し、信者!?」
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