第34話 バズったっぽい?
( ◜ᴗ◝ ) ──────絶望。
その一言が相応しいくらい、時雨は気を落としマネージャーである佐々木さんを家に迎えた。
佐々木さんは両手に大きな紙袋を持ち、重そうにしながら時雨の部屋に入ると、すぐに「うっ」っと、声を濁した。女の子の部屋とは到底思えない悲惨な状況だったからであろう。
「──取り敢えず、弁明を聞く前に部屋を綺麗にしましょうか?これでは足の踏み場も無さそうなので」
「…………ッ、はい。すみません。分かりました…」
恥ずかしさで死にそうになりつつも、頷く。
「まぁ、大体予想は着いていました。一人暮らしの高校生でありながら、勉学と配信を両立するのは大変難しいことだと。更には放送事故を起こした後なら尚更です」
そう言い、慣れたように部屋を片付ける佐々木さんは大きな紙袋に手を出す。中には多様なお掃除グッズが入れられていたようだ。雑巾やらスポンジ、バケツも出てきた。だからこんなに大荷物だったのか…
「まぁ、雅坂さんの今の精神状態を全て把握することなんてマネージャーの私には無理です。配信者には配信者の“ストレス”がありますから。まして当事者では無い私が無粋にも「大丈夫?」なんて声を掛けても無意味だと分かっています。
──ですが、これだけは言わせてもらいますね。
マネージャーの私は一緒に
「………… ̄^ ̄゜うっ」
佐々木さんはすごい人だ。
時雨が今言われて1番嬉しい言葉をこうも簡単に言ってくれた。その言葉を聞いただけで心臓が鼓動を早め、今まで無気力だったはずの身体に力が入る。目の前の暗闇が少しだけ晴れたような気がした。
「さ、さ、佐々木…さん」
「どうしたの?」
掃除の手を止め、佐々木さんを呼ぶ。
くるりと振り返った佐々木さんはまるで母のような包容力に満ちている気さえする。
「わ、わ、私……天月カグレは…………これからも続けます!VTuber!絶対に。辞めたくないです!)>_<(」
言葉としては思ったことをそのまま吐き出しただけ…
だけど、心の底からの時雨としての叫びだった。
「ふふ、当たり前ですよ。そもそも辞めさせる気なんて毛頭ありません。貴方は既にZwei所属の
いや、人気って……(´・∀・`)
「人気な訳ないじゃないですか……煽って。常に炎上して、配信者狩りも沢山しました。単純な嫌われ者ですよ」
だから、今の状況に繋がってしまったんだから。
「………………まぁ、あなたの性格的にSNSを見てるわけ無いわね」
そう言い、佐々木さんはスマホ画面を見せてくる。
それは天月カグレ チャンネルのYouTubeホーム画面だった。
「──え!チャンネル登録者数がふ、増えてる!?」
た、確か…配信前は20万人くらいだったはず…
それでもすごい数ではあるが、ZweiのVTuberという肩書きとひばりちゃんとカノンちゃんとのコラボの恩恵が大きかった。
だが、既に天月カグレのチャンネル登録者数は“40万人”に達しようとしていた。
「え、増えすぎじゃないですか…」
1日、いや、たったの数時間でチャンネル登録者数が倍になってしまっていた。
「天月カグレの初声出しは当たり前のように切り抜かれ、多くが拡散されました。そして当然の如くバズり散らしました」
珍しく、自分のことのように嬉しがる佐々木さん。いつもは大人びた雰囲気を纏っている為今の佐々木さんに凄く新鮮味を感じた。それぐらい嬉しく思ってくれているのだろう。
「バ、バズってるんですか?炎上とかじゃなくて?」
「違いますよ。単純に今までの天月カグレとのギャプが凄かったと言えば良いんでしょうね。まさにうなぎ登りというやつですよ!
──だからね、これからもよろしくお願いしますよ。あなたはあなたのスタイルで
「え、あっ……………ハイ」
どうも、現実味が無く。乾いた返事しか時雨は出来なかったのであった。
───どうやら、天月カグレはバズったっぽい?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます