朝起きたら兄である俺、男をやめる代わりに姉になり女の子になるそうです
くうき
1章:女の子になっちゃった。
プロローグ:俺、男の子引退だってよ
人生において、驚いたことはあるだろうか。いや、違うな。どうしようもない声を出したことがあるだろうか………まぁ、いいや。
雨が降りしきる朝の日にそれは起きた。
「ふわぁ~………ん?何か、声がおかしくないか?」
俺、
「ッ!?えっ!?俺の、俺の………天パは!?」
俺の天然パーマが、さらさらのセミロングへと変貌していた。更にだ。
「俺、何か全体的に縮こまってね!?」
俺の身長、185cmは気が付けば頭3つ分くらい小さくなっていた。そんなこんなで、俺は悶え続けて、叫んでいると、廊下から足音が聞こえ始める。
「義兄さん!!うるさ・・・い・・・!?!?」
「おぉ、かなめ。すまんな。それと、おはよう。」
「おはよう………っ!?あの、どちら様で!?」
「ハハ!!何言ってるんだよ、かなめ。お前の義兄である、梓に決まってるだろ?」
「………ハイ??」
何故か義妹である竹中かなめは鳩が豆鉄砲を受けたような顔をした後、百面相を繰り返す。うん、可愛い。
「………と、取り敢えず、義兄さん。」
「ん、何だ急に。」
「イッカイ、カオアラッテコナイ??」
「う~ん、そうだな行ってくるわ。」
「ウン、キヲタシカニモッテネ?」
「お、おぅ。何か、片言だけどダイジョブか?」
「ダイジョブイジョブ。ホラ、サッサトイク。」
かなめのよそよそしい態度を横目に俺は、洗面台へ歩いていく。それにしても、視界の範囲がおかしいんだよなぁ~。
そうして、階段を降りて、洗面台へ足を運び、顔を洗おうとするが、なんと、蛇口まで届かなくなっていた。どうしてだ?いつもなら届くんだけどな。さて、鏡でも見る………か。
「………へ??」
そこに映っている姿は、俺なのか?随分と縮まっているし、何か胸は膨らんでるし、さらに言えば、天パがストレートヘアになってるし、何じゃこれ!?
「ちょ、ちょっと待てよ。ま、まだ確定していない。俺のムスコを見るまでは!!………南無三!!」
俺は、決死の覚悟で下の方をのぞき込んだ。………膨らみ小さいな、って、そうじゃなくて!!お、俺のムスコは………な、無い!!
「あ、あぁ、あぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!俺の18㎝のムスコがぁぁぁぁぁ!!亡くなった嗚呼ああ!!俺、男引退だぁ!!」
「義兄さん!?正気を保って!!」
「あ、あぁ~。人生で一度も抜刀することなく、その生涯を終えてしまったのか、俺のムスコよ。」
「義妹の前で、ドセクハラやめろ!!!」
「ちょっ!!痛い!痛いッて、明らかに殺意籠ってるよ!それ、どこから出してきたの!?」
傷心中の俺は義妹の前でムスコの話を延々と繰り返して、危うく、兄としてどころか、人としての人生も終えそうになった。ホントに危なかった。いや、マジで。
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「それにしても、不思議よね。義兄さん、いつからその状態になってたの?」
「いやぁ、なんと今日の朝。」
「いきなりなったのね。これ、病院案件じゃない?」
「まぁ、流石にそうだな。だけど、その前に俺どうやって過ごせばいいんだ??」
「………確かに。一先ず、お父さんとお母さんに連絡してみましょう。」
「だな。それが手っ取り早いか。」
そうして、俺は親父に。かなめは母親に連絡を入れて、かなめには申し訳ないけど、高校にも欠席の連絡を入れてもらった。流石に今の俺が出ても、信頼されない可能性は高いのでね。
「さて、一先ずどうしましょう。色々とやらなくちゃいけないことが多すぎて、手を付けづらい状態になってますね。」
「病院に行く、と言ったとしてもどの専門科に行けばいいか分からないしな。」
「こういう時って、都合よく国の方でサイトとか作って誘導するもんじゃないんですか??」
「それは、ないんじゃないか?さすがにメタすぎるだろ。あっ、メッセージ。………はい??」
「どしたの?義兄さん。」
「マジで来たよ。国立研究所から。」
「………手詰まってご都合主義に行きたかったのかしらね?」
「流石に無いだろ。まだ、1話目だぜ?」
そうだよね?作者さん。神の視点さん?
「とりあえず、怪しいかどうかで言えばぶっちぎりで怪しいけど。」
「希望っちゃ、希望か。かなめ。連絡頼めるか?」
「うん、メールで今送信してる。送信した。」
「そっか。返信までどれくらいかかるかね。」
「送信したのが朝の8時38分だから、まぁ、10時とかじゃない………あっ、返信来た。」
「はやっ!?」
「えっと、一先ずこちらに向かうって。その後研究所で色々と検診していくと。」
「マジか。」
「その際に、注意点が1つ。性的興奮及び行動はなるべく慎んでほしいって。」
そうなのか。流石にせんよ。流石に………ね。
「あっ、その理由なんだけど、女の感度って男の感度の10倍くらいで下手にやっちゃうと男の人は耐えられなくて頭がパンクするかもだから、絶対にするなだって。」
「何それこっわ!!絶対にやらんわ!!」
うん、決して、血涙なんか流していないんだからね!!
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