第319話 エピローグ

「お父さん、むしっ! むしっ! お母さんが呼んできてって!」

「はいはい、今いく今いく」


 俺は読み終えた新聞紙を軽く丸めていく。


 一面トップを飾っていた、月の内側に創られた都市との、国交樹立の記事の写真。

 そこに写っていた、あだむと緑川さんの握手をかわしている姿が、新聞紙を丸めるにつれ隠れていく。


「──で、虫はどこに出たって?」

「台所っ! お母さんは逃げてるー」

「そうかそうか。ちゃんとお父さんを呼べて、偉いぞー」


 不思議なことに生まれながらに銀髪の娘の頭を、俺は片手で撫でながら褒めると、丸めた新聞紙を手にして、台所へと向かう。


「あー、あれか」

「ね、ね。あれってレアなの? もしかしてモンスターだったりする?」

「あー。確かに普段見ないような形をしてるよね。それにしても、モンスターだなんて、よく知ってるな?」

「昔は、モンスターって、いっぱいいたんでしょ! 動画で見たの」

「そうかそうか。そうだね、確かに昔はダンジョンもモンスターもいたんだよ。ただ、残念ながら、それはレアでもモンスターでもなくて、ただの害虫っ」


 そう、娘に告げながら新聞紙を掲げ、次に一気に振り下ろす。

 その速度は、俺が若かった時の何十倍も遅い。


 しかしながら、寸分違わず狙い通りに振り下ろされたそれは、一撃で害虫をとらえ、息の根を止める。


「わぁ、お父さんすごいすごい──でも、気持ち悪いかも……。お母さんに、お父さんが倒したよーって言ってくる!」


 倒した害虫の残骸を見てしまったのだろう。そのまま、逃げるように走り去る娘。


 その後ろ姿をやっぱり母親似だな、と苦笑しながら見送ると、俺は倒した害虫の残骸が妻の目に触れないうちにと、片付け始めるのだった。


 fin




──後書き──


ここまでお読み頂きありがとうございました。


本日はコミカライズ40話の更新日となります~

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「勇者パーティーのお姉様方に拾っていただいた少年神官だけど、恩返しで自爆魔法を使うたび皆が曇っていくんですが」

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レアモンスター?それ、ただの害虫ですよ ~知らぬ間にダンジョン化した自宅での日常生活が配信されてバズったんですが~【コミック三巻発売!】 御手々ぽんた@辺境の錬金術師コミック発売 @ponpontaa

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