56日目 太鼓の八咫烏さん



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 ぺぺが本殿へ行くとちょうどご祈祷中だった。


 今日も太鼓がドンドン鳴っている。


 ぺぺは太鼓の音が苦手だ。


 でも今日は苦手の太鼓の音もなんだか楽しいなと思った。


 理由は、太鼓の上に八咫烏さんが止まっているのだが、太鼓の音に会わせて


 ドンドン! 


 と鳴ると、その衝撃でピョンピョン太鼓の上で跳ねているのだ。


 なんだか、本人的には楽しんでいる訳ではなく、参拝者を見ているのだが。


 真剣な顔をして、ピョンピョン跳ねているので、ぺぺはおかしくてしょうがない。


 後ろでケラケラ笑っていると、


 バシ!


 眷属の龍神さんにはたかれた。



 うるさかったみたいだ。


 神様がいるのに騒ぐなということらしい。


 そんなぺぺを八咫烏さんは、勝ち誇った顔でぴょんぴょん太鼓に合わせて跳ねながら見ているのだった。

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