レインボーサイクロン
星屑少年
第1話
昨日も今日も明日も同じだ。
軽快な音楽が何度も繰り返し繰り返される。それでも生きるんだ。
目覚まし時計が朝を告げた。
おはようだ。
「あぁ~うるせぇ。…エッ?!まじかよ…」
少年は腐るほど鳴った目覚ましの音でようやく目を覚ました。
時刻は8時20分。どうやらタイマーを7時半に設定し、10分おきにスヌーズが鳴るようにしていたらしい。何回もバシッバシッと止めては寝、止めては寝を繰り返したようだ。
今日は週末明けの月曜日。学校だ。幾つもの学校がありそれぞれ始業の時間は違うと思うが彼の学校は8時40分からホームルームが始まる。
「やっばいなぁ。このままじゃ今日も遅刻しちまうぞ。焦らずそれでいて慌てず急ごう。」
もう何を言っているか筆者にもよくわからんが、急ごうという気持ちがあるからよしとしよう。
少年は二階からスタスタスタダッダッダと軽快かつ急いで階段を駆け下りると一階で学生服に着替えては、
「今日も母さん飯作ってくれてねぇなぁ。まぁ食う時間もないけど」
等と思い、食卓とは別の机の上にあった食パン超熟を口にくわえて
「よっしゃ。行こう。」
と、呟いては愛チャリで家を後にした。寝て起きてここまでの所要時間は約5分。
もう朝に遅刻寸前を何回も経験した事がない奴にしか出来ない芸当なのだ。
さて、今は8時25分なわけだが、少年の家から学校までは自転車でおよそ15分、急げば12分ほどの距離である。
「この時間ならマッハゴーゴーを使うまでもないな。」
少年はシュッシュッシュッと自転車を漕いで学校に向かった。
マッハゴーゴーとは少年が名付けた必殺技の事で、実際のところ「立ち漕ぎ」をし、猛スピードで駆け抜けるだけの事だ。
決して某アニメ、マッハゴーゴーゴーとの関連性はない。
「ふぅ。あと二、三分で着けそう。今日は遅刻しないで大丈夫そうだな。」
少年の名は大島達也(おおしまたつや)。
公立高校普通科に通う高校二年生だ。
不細工というわけでもなく、しかしかっこよくもない。いたってどこにでもいそうな普通の面である。
勉強はというと下の下。
スポーツも何かが出来るというわけでもなくどちらかと言うと下手な部類だ。
帰宅部であり趣味は音楽を聴く事とたまに読書。本屋で買ってはきどって小説などを読む。
恋愛の方はというとまるでダメ。
彼女いない歴16年。
AもBもCもはたまたDもない童貞だ。
昨日は夜遅くまで洋楽のニルヴァーナとウィーザーをローテーションし、パソコンでエロムービー鑑賞。オ○ニーの行為におよんでいた。女性の諸君はどうか引かないでほしい。健全たる男子高校生なら誰でもオ○ニーのひとつやふたつ、いや、一回や二回はするもんである。と、筆者は思いたい。
…そうだ。典型的ダメ人間である。
そこら辺のモンモン男子高校生なら「これは、俺だ!!」と言いたくなるようなダメっぷりである。
筆者もそう言いたい。
簡単にまとめると勉強もスポーツもろくにできないいたって普通の高校二年生童貞です。って事だ。
ガチャガチャ。ガチャンッ!
学校の自転車置き場に自転車を勢いよく停めた。
「ハァハァ。着いた着いた。
…時間は8時38分か。やったぜベイビー。しかし毎度の事、疲れたなぁ。」
そこら辺のオッサンが口にするような言葉を心の中で思った。
そんな中、昨日の夜の事を思い出した。
「俺は連続で何回オ○ニー決められるんだろう。」
という疑問にかられ連続で四回をこなし「もうだめだ。」と42.195キロを走り抜いたランナーのような顔でベッドに横になったのは言うまでもない。
「...昨日の俺。とんでもなくださかっただろうな。」
開口一番、昨晩繰り広げていた悪夢を思い出していた。
そんな事は半ばどうでもいい。まぁよくもないが、童貞オ○ニー少年、大島達也は校舎に入り教室へゴーストレート。
階段を上ってみては少年少女達があちらこちらと(廊下や教室で)おしゃべりをしている。
がやがやと騒がしい廊下を抜けて達也は自分のクラス206教室。2年6組を目指して歩いていった。
209、208、207。騒がしく目まぐるしい教室、廊下を過ぎては自分の教室までもうすぐだ。
「今日も一日頑張って…帰りにグリーンデイでも聴こう。」
授業がまだ始まってもいないのにそんな事を考えていた達也の前方、206教室の廊下に奴等がいた。
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