ハロウィン2025


五人の乗りの、黒色の車。

「結局今日はどこに行くんだよ。」

助手席に座る、少年がマップを指さし。

「えーと、その辺のコンビニで昼ごはんを買ってから」

どうやら、こんな時期に海に行くなんて、馬鹿げている。

まあ、こんなことできるのも大学生までだろうからとのんきについてきてしまったが

「なあなあ、海行ったらなにすんだよ?ナンパか?」

「はあ、こんな時期に海に行く馬鹿がいるかよ。」

「じゃあ、僕らは自分で馬鹿であること認めたってことか?」

「でもさ、もし女がいたらワンチャン」

まるで、チャラ男みたいなことを言ってるこいつは自他認める、年齢=彼女いない歴ただの強がっているだけの人間だ。だから実際のところはナンパ、、、異性と話すことさえ恥ずかしくてできない。

「ほら、コンビニ着いたよ。」

それぞれがお昼ご飯を買うことになった。



赤色のライターが視界に止まる。

赤くて小さい火が今にも風で消えそうになっている。


「おい、おまえら早く決めろよ。」

「あ、ごめん。」

おにぎり、カレー、パン、弁当

多種多様な昼ごはんを車の後ろ席に置き。

僕達はいざ海へと出発した。


「おお、きれいだね。」

窓ガラスに広がる青い海。

「鳥」

「やっぱ、誰もいねえな。」

「まだ、懲りないのか。」

「もう、諦めなよ。」

「彼女くらい欲しくなるだろ。」

「彼女がいなくたって、僕らがいるだろ。」

「それとそれは別だってば」

あははと一人の少年を笑う…1年経ってもなにも変わらないな。

僕らの出逢いは大学1年のオリエンテーションだった。先生がなんとなくで決めたグループでひとつのテーマを話し合ってくれというときに僕らは知り合った。案外意気投合し、こんなふうに休日に遠くへと遊びに行くほどの仲まで発展した。


そう僕も思っていた…はずだったのに…


「うわー、砂冷えてる。」

「そりゃあ、10月だ。夏よりは冷えるに決まってるだろ。」

裸足で歩くなか、ひとりの少年が呟く

「やっぱり、僕サンダル履いていい?足が砂で汚れるのやっぱいやで…」

「あぁ、車のトランクにあるはずだから」

「わかった。」

あいつは、僕らのなかで一番背が低く大学内でもかわいいと評判がある人間。かわいげあるだけで周りに好かれるって正直羨ましい。

見た目によらずとても力持ちであることが周りの女子に知れ渡ったら、あいつはモテただろうな。


「おまたせ」

「お、じゃあ歩こうぜ。」

「こんなふうにみんなで砂浜を歩くのは去年ぶりか。」

「にしても、今日寒いな。」

「たしかに、去年こんな寒かったけ?」

「うーん、、今年のなつ暑かったからな。その反動ってやつ。」

「こんなに寒くなるならさ、、、今年によかったじゃねーのかよ。」

「未来のことなんて過去でわかるわけないだろ。」


冷たいであろう、海水が

あいつらの足へと伝う。

「え、海水がなぜここまで」

この中じゃ、一番博識で成績が良かったよな。いいこのふりして周りからの人気を稼いで……

「冷たっ!」

1番、僕と似ている。

そう思っていたのに……なんでだよ。


「あのさ、その先は危ないんじゃないかな。」

興味本位で海に向かう彼らを僕は止めようとする

「少しだけなら大丈夫だって!」

「あ、ちょっと引っ張らないでよ。」

「せっかくだから、、な。」

「はぁ、今日は遊びに来たわけじゃないっていうのに」

彼らは、楽しげに海水に足を突っ込み。

それを遠くから僕は見ていた。


ゆるさない、、ゆるされるはずがないんだ。



「だって、今日はあいつのを祝うためにここに来たんだろ。」


そうだ、約一年前ここであったこと。

僕が一番忘れるわけがない。


ボコボコと海は鳴る。

「え?」

「え、助けて、足が引っ張られて」


赦すはずがないんだ。

「あー、もう。だからこんな時期に行くなって言ったのに…」

「まさか、ハロウィンがそんな怖い行事だと言われて信じるわけがないだろ!!」


互いの手を取り、長い長い綱のように陸へと引っ張ろうとする。

僕らが人間に負けるはずがない。


あの日、僕らは…あいつらは

大きな車に乗り、僕を誘拐した。

「いやぁ、少し暴れたから。一発やったら気絶してさ。」

僕の体を車のトランクに詰め込み。

拘束された身体では助けを求められなかった。

「気絶してるってことはさ、誰か運ばないと行けないってこと?やだよ、僕。」

「でも、この中で一番力あるのは」

「わかったよ、運べばいいんでしょ?」

ある海へと車がつき

僕は誰もいない砂浜へと運ばれて

「なるべく刺激を与えるなよ。叫んで、周りの人にバレたら…」

「わかってるってば。」


砂の城を作るようなシャベルとは程遠い大きなシャベルを僕の体へと思いっきり、突き刺した。それは何回も何回も

僕の喉仏に向けても、僕が叫ばないようにと言わんばかりに力強く。


「おまえさ、うざいんだよ。邪魔なんだよ。」

「あはは!何もないやつなんて無価値同然!」

「騒ぐなって、バレたら警察に通報されるぞ。」

「あ、、ここまでするのか?」


どうして、だよ。

どうして、おまえは平然と見れるんだよ。

1番仲良かったはずなのに



さぁ、こっちへ来るんだ。

そしてお前らは地獄へと堕としてやる。


ようこそ、僕を殺した殺人犯四人組。


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