第42話 似て非なる謎
自然な流れで物事は動く
自然には起きない事があると妙に目立つ
暑くもなく寒くもない、ちょうどいい季節、秋の宵。謎が潜んでいた
走ってからのウォーキングで辺りはすっかり真っ暗となった
地域の大規模病院も国民の休日で、駐車場はガラガラ
車を買い替えるつもりなので、どんな車が良いか、キョロキョロ品定めをするのが定番になっていた
歩きながら右を向くと40m先、駐車場がガラガラなのにぴったりくっついてる2台の軽自動車バンがあった
古ぼけた2台のバン
ガラガラでも隣りに駐めたがる" トナラー" なのか?
目印の車があると駐車し易いことは確かだが、なにせガラガラだ
ちょっと変だなと思った
2台は駐める方向が入れ違いで逆。運転席同志が30cmぐらいで対面している
1台は駐車枠の真ん中に正規に駐まっている
もう1台は駐車枠を跨いで隣りのスペースにはみ出して、車のお尻も枠からはみ出している
どちらかか、もしくは、両方の車でエンジンがかかっている
人気はありそうだが、よく見えない
埃っぽい様な車の印象に引きずられてか、男が中にいる様に思えた
こんなガラガラの駐車場で、何故くっついて駐める?その心が解らない
不可解な事に出会う確率が高い
少し呆れる
既視感があった
以前にも書いた話
閑散とした大河川の駐車場で、南アジア系の黒人が駐めた軽バンに、レクサスで乗りつけたマダムが乗り移っていった
あの時の謎は解けていない
もっとも、解けたら、えらい事になってしまうかもしれない
フィラデルフィアの暗がりでありそうな、黒いビジネスを想像してしまう
しかし、私も成長した
今回の謎は
全て解けた
正規位置に駐まっていた車がバッテリー上がりを起こしたところから始まる
そして、その車は仲間を呼ぶ
ブースターケーブルでバッテリー間を繋ぐ為に、2台はこんな配置になってしまう
バッテリー同志を繋ぐなら車の前と前がキスをする様な位置の方が良さそうだが、バッテリーの位置が特殊だったのかもしれない
作業を終えた後、バッテリーの充電が安定するまでアイドリングをしていたところを、私が見たという真相
この推理、いい線いってるじゃないか
ボンネットが開けてあったら、何も謎にならなかったはずだ
ちょっとしたことが違和感を生んだ
とんだシャーロックホームズだったな
ウォーキングを続け、病院の敷地を抜け駐車場横の歩行者道を進み、振り向くと遠くに、先ほどの2台のバンが動き出すのが見えた
1台がこっちに来る
どんな人が乗っていたのかな
少し興味があった
駐車場脇の道がT字の交差点になる所。私は前の建物に興味があるよう装って待っていた
来た
右折したい様だ
ちょうど横に止まる
街灯もあるので、助手席側だけど、見れるだろ
また始まったよ
呆れた
最後の謎
その車の助手席の上部から窓にかかる様に、ぺっちゃんこのカバンが3つも吊るしてあった
中が見えない
見えなくしていた
どこの世界に、助手席の窓にカバンを吊るす人がいるだろうか
私を意識しているのか?
意味がわからない
運転していても、サイドミラーが見えないだろう
フィラデルフィアかよ
誰にも言ったことのない記憶が今となってはファンタジーだった話 Guppy of The Zroos @Guppy_of_The_Zroos
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