第12話-5 夏色の長い1日 後日談
Y君とダブルデートをしていたもう1組のカップルが誰だったのか
私は男の名前だけ聞いていた。韻を踏んだリズミカルな名前が印象に残った
時は流れた
少し前だが、私の近緣が列席した結婚式の席次表を見る機会があった
そこで、はっとした。新郎の名前があまりに韻を踏んでリズミカル
おいおい、あの時ボーリング場にいたもう1組のあの男、Y君の友達はいつの間にか私とヒトケタ親等ぐらいの親戚になっていた
世間は狭い
新婦とはその頃まだ出会ってないはずだから、ボーリング場にいた彼女とは違う。それはそれで気まずい
その後、そのリズミカルな名前の男と同じ場所に居合わせる機会があった
親戚だから、そんな場面は巡ってくる
友達の女を連れ去る謎の男のことを聞いた事はない
何故かわからないが、しっかりとは顔を合わせられない
なので、今更ながら顔がよくわからない
この出来事を通じて思う
人間味が伝わらないような行き違いがあると、悪い方へ一方的に転がっていく事がある
駅の駐輪場に置いた自転車を目印に女の子の帰りを闇の中で待つ。そして、その状態から謝る
この、伝わらない優しさ。伝わってくるホラー感
何がどう間違って、独りよがりになってしまったのか
喪失感に狂わされたのかな
間違わないで欲しいのは、これはイケメンが女を奪った様な話ではない。"さらって行った" 側は、イケメンとは程遠い
しかし
私は「1回はデートしちゃう病気」が発動し、後日にMちゃんと2人で楽しい時を過ごした
どのツラ下げて連絡先を聞いたのだろうか
都合の悪い事は記憶に残っていない
これでは、私に関して言うと終始楽しんでいただけではないか
そこが、心苦しい部分ではある
私とて何回も討ち死にをしてきたことを、Y君にあの時言いたかったな
しかし、言うのも変
その後、Y君とは何回か顔を合わせたことがあった。おそらく不満もあっただろうが、不問としているのか、何も無かったような感じになっていた
" 男 "だね
こういう良さはあるのだが
決定的な場面で伝わらなくて残念
Y君は教師として就職し、休日に声優の学校へ通う日々を経て、東京に芸能関係にうって出た。しばらく劇団に所属するも、現況はわからない。頭の良い奴だったから、どうやっても生きていけるだろう。幸運を祈る
"悲劇" の当事者の了承をとってから書こう思ってはいた
しかし、会うことが無さそうだし、傷つけることもないと思った次第
だから書いてしまった
彼にとっては辛い記憶かもしれないが、遠い昔の学生時代の話でもあるので、全てを記した
何かちょっと心苦しく胸に秘めていた話
映画にも出来ないぐらいベタなドタバタコメディーだなと、当時は思っていた
ホラーテイストもスパイスと感じた。若い日々は罪深い
同じ人でも、人に好かれたり、嫌われたりする
人を裏切る奴だといっても愛される奴もいる
同じアイスクリームを2つもち。1つ落とすと、「お前のアイスが落ちちゃった」って真顔で言っていた同期で自己中心のH君は愛されキャラだ
伝わる、伝わらないは運命なのか
運命のいたずらとしても、変ったいたずらがあったものだ
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