第12話-4 夏色の長い1日 裏目

 今日の1日の出来事は彼女のトラウマになってしまったかもしれない


そしてY君にしてもそうだ


それからも、彼が裏目に出ているケースを見たことがある

 

 彼が教師として就職した後の話

友人の結婚式。急なリクエストを男らしく引き受けたY君

せっかくやってくれたスピーチではあったが、新郎の父親が内容に憤慨していた記憶がある

 Y君はスピーチでミスをしていた

新郎新婦ともに知り合いで、ちょっとした暴露話で場を沸かせようと思ったのだろう。なぜか、新婦側のチョイ暴露をする

そこは新郎側の暴露が定石だろう

笑いにも、つながってない


 スピーチに本気で憤慨してる新郎の父を初めて見た

可愛いお嫁さんを落としめる様なスピーチに我慢ならなかったのだと思う

何もしなかった評論家目線の私は、結果論で何とでも言えるが、なんとも残念

彼の何かが裏目に出ていた


 新郎の父親は床屋を営んでおり、高校時代よりY君はせっせと通っていた。私はこの家の長男と保育園からの付き合いで、何回も遊びには来ていたが、髪を切ったことがなかった

私は人生の転機に1回だけ髪を切りに行った。記念になると思ったからだ

この床屋の主人は非常に感激していた

私が大事な時に初めて髪を切りに来てくれたとの感激だった

「初めて髪を切りにきてくれたでしょ」と言われたので、私は「えーそうですか、前にあったと思いますよ」とごまかした


 何回も髪を切りに来てくれて息子の結婚のスピーチまでしてくれたY君がぼろくそに言われ、人生に1回だけ髪を切りに行った私が感激されるって、これは何?

 今だに首をかしげてしまう


        つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る