第12話 Eランク冒険者への昇格するヒカル

「ヒカル君。メイリちゃんおめでとう。君たち二人は今日からEランクよ。」


いつものように朝からギルドに向かい、受付のミドリの元へ向かうと開口一番そう言われた。


「「やったーーー!!」」


(ようやくEランクかここにきてから1カ月。Eランクへの昇格が早いのか遅いのかはわからないけど、昇格するのは素直にうれしいな。最近は徐々に貯金もできるようになったし、この調子で行けば魔法学校入学のミッションも問題なくクリアできそうだな。ってまだ貯金は銀貨5枚しかないけど・・・)


「それでもまだEランクだからね。Dランクになってはじめて一人前だからまだまだ頑張ってね。」


「「ありがとうございます。」」


ヒカルとメイリの2人はEランクの冒険者証をDランクに変更してもらい、いつものようにゴブリン討伐の常設依頼を受けて森に来ていた。


「ヒカル~。折角Eランクに昇格したんだし今日はお休みでよかったんじゃない?豪華な食事でお祝いしたかったよ。」


「この前もレベルアップのお祝いしたばかりじゃないか。お祝いばっかりしてるとお金がいくらあっても足りないぞ。それに・・・我が家の家計は火の車だ。」


「火の車??」


「ようするにそんなにお金は無いぞって事だ。」


「そりゃまあ・・・そうだけど。」


「まあでもメイリの気持ちもわかるから、今日は早めに帰ってちょっとだけ豪華な食事をしようか?」


「ホント!?やったー!!」


(俺も甘いな。まあ日頃固いパンにシチューのような質素な食事なんだ。おいしい料理を食べたい誘惑には勝てないよな。でもランクも上がった事だし、金策については考えないと。いくらまだ魔法学校入学まで日があるからいけるとは思っても、装備に宿に食事にって、出ていくお金もけっこう多いもんな。その辺は食事の時にメイリと一緒に考えるか。)


そう言って、日課のゴブリン狩りに精を出した。


ヒカルとメイリーンは、エベレスの町に来てからはゴブリン狩りと図書館での勉強の日々を送っていた。1カ月もすればだいぶ知識も豊富になり、森の探索にもなれてきた。もちろんレベルも上がっていた。


ヒカル

レベル8


HP80 MP300

筋力 74

魔力 150

敏捷 74

耐久 74

精神 90


恩恵:異世界言語・全魔法適正・成長補正極大

適正:全属性


メイリーン

レベル8


HP40 MP100

筋力 40

魔力 60

敏捷 30

耐久 32

精神 40


適正:水・光


ヒカルは成長補正極大の力を授かっているので、メイリーンの2倍程のステータスになっていた。メイリーンもヒカルに習い魔力操作の練習と、寝る前のMP消費の訓練をするようになってからはMPが成長していた。


ある程度のゴブリンを狩った後、ヒカルとメイリーンは宿の食堂ではなく、近くの料理屋に向かった。


「やっぱり柔らかいパンは美味しいね。あ~できるならこのパンを毎日食べたいよ。」


「ははは。それは俺も同意見だ。だけどそんな事したらいきなり破産だ。」


「でもEランクになったんだし、これからはもっと稼げるよね?」


「どうだろ?正直FランクからEランクに上がった所で、受けれる依頼はそんなに変わらないんだよな~。Dランクになればダンジョンとかにもいけるから報酬もグンと上がるだろうけど・・・。」


「そうなの?でも魔物討伐だってFランクよりもEランクの方がお金稼げるでしょ?」


「まあな。」


(まあやる事は今までと変わりないか。森に行って魔物を倒す。Eランクならオークなんかが素材も経験値もおいしいと思う。そこを狙うのが一番効率が良いか。)


「でしょ。今食べてるオークとかどうかな?ゴブリンって討伐証明だけで素材が売れないじゃん?オークだったら素材も買い取ってもらえるし一石二鳥だと思うよ?」


(メイリも俺と同意見か。まあ普通に考えたらそうなるよな。後はどれだけ持って帰れるかだな。アイテムボックスとかインベントリとかあったら一気に金の問題もクリアできるんだろうけど、今の俺達なら一体持って帰るだけで袋がパンパンだもんな。)


「そうだな。オークはいいかもしれないな。だけどメイリ?オークってどうやって持って帰るんだ?さすがに袋がパンパンになるだろ?倒す度にギルドを往復するのか?」


「う~ん。荷車でも借りる?」


「だよなー。」


(折角の異世界なんだから普通アイテムボックスぐらいはくれてもいいと思うんだけど・・・だったらネメシス様の言ってた勇者のサポートだってうまくやれると思うのに・・・。は~。うまくやれる方法はわかるのに、それが実践できないのがつらいな。)


「ヒカルが収納魔法を覚えれば解決するのにー。」


「ははっ。さすがに図書館に収納魔法が載ってるのは無かったからな。覚えられるなら覚えたいけど・・・。」


「でもヒカルは無詠唱で魔法が使えるようになったじゃん。同じように収納魔法も魔法書なんてなくても覚える事はできないの?」


ヒカルは毎日の魔力操作の成果で、初級魔法は無詠唱で打てるようになっていた。そう魔力操作で体内の魔力を対外へ出せるようになっていたのだ。


「まあ覚えれたらいいけど、今日の明日じゃまず無理だな。まだ身体強化だって、気配感知だって覚えれてないんだからな。」


(魔力操作を練習して、魔力を対外に出せるようにはなったけど、そこからは更に難しいんだよな・・・。ラノベなら0歳からそれをして、5歳で自由自在に魔力を操れるって感じだから5年は毎日毎日ちまちま魔力を動かさないと無理って事だもんな。)


「そっか・・・」


「まあとりあえず明日からはオークを倒してみようぜ。報酬が良くなればここに来る頻度も増やせるし、魔法学校への入学金も貯めれるだろ。」


「そうだね。私頑張る。」


Eランクに昇格したヒカルとメイリーンは、より高い報酬を求めて明日から、更に強い魔物を倒す事を決めるのだった。



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