勇者御一行は花粉症

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第1話

 「おぉ・・・勇者たちよ・・・死んでしまうとはなにごとだ!!」


 司祭のお決まりの声とともに俺たち勇者一行は目を覚ます


 「あびがぼうごばいバズじざいザバ・・・」

 俺は司祭様にお礼を言う


 「「「あびがぼうごb・・・えっくしょい!!!」」」

 俺に続いて仲間たちがお礼を言おうとするがくしゃみで途切れる

 

 


 「はいはい、お礼は良いから・・・これアレルギーの薬!!」

 司祭様が永遠にくしゃみする俺たちに人数分の錠剤を渡す


 「あり・・・えっくし!!ありが・・・えっくしょい!!どっこいっせーい!!」

 「もう良いから飲みなさい!!」


 「はい・・・」

 俺たちは司祭様に促され薬を飲む


 「「「「ありがとうございます!!司祭様!!」」」」

 薬を飲んで復活した俺たちは司祭様にお礼をいう


 「しかし、すごいですねこの薬・・・重度の花粉症である私達にすぐに効くなんて・・・」

 そういうのは俺たち勇者一行の魔術師のネイ・・・彼女は重度の花粉症である


 「ほんとに・・・すごいよな・・・・・(ボリボリ)」

 体をかきながらネイの言葉にうなずくのは、ビーストテイマーのギース・・・彼女は重度の花粉症と動物アレルギーである


 「一体どうやって作ってるんですか!?」

 司祭様に巨体を近づけて、問い詰めるのは剣士のタブ・・・・・彼は重度の花粉症であり、金属アレルギーだ


 「その薬は、我が教会の秘伝の製法で作った薬で作るのが大変なんだよ・・・・・それをお前ら勇者達と来たら何回も何回も・・・・(ぶつぶつ)」

 

 「そろそろ、俺たちは行きますね!」

 司祭様のお小言が始まる気配を察知した俺・・・伝説の剣を引っこ抜いてしまった精霊使い(勇者)のカーフ(ちなみに俺は極度の花粉症だ)は教会を急いで出る












 「で・・・どうするんです?カーフ・・・今回の敵は私達と相性が悪すぎますよ?」

 教会を出て、ネイが俺に聞く

 

 「そうは言ってもなネイ・・・あいつを倒さないと街の人達が困るだろう?」

 俺たちが倒そうとしている敵は、今までにいくつもの街を機能不全にしてきた凶悪なモンスターだ・・・そんな奴を放置する訳にはいかない


 「それはそうかもしれねぇが・・・でもあいつは俺達の天敵だぞ・・・?」

 タブが俺に諭すように言う

 

 

 「そうなんだよな・・・なにか対策を考えないと・・・」

 俺が考え込んでいると

 

 「そのことなんだけど・・・僕良いもん見つけたんだよ!!(ボリボリボリボリ)」

 ギースがそう言って、カバンからガスマスクを取り出す


 「何だそれは?」



 「ガスマスク!知り合いの傭兵からもらったんだ!!」


 「確かに・・・このガスマスクがあればあのモンスターに優位に立ち回れるかもしれませんね」



 「よし!そうとなれば、再出撃だ!!」

 そう言うとタブはモンスターがいる森の方向へ突っ走っていた



 「待て、タブ!!マスクを・・・」

 そう言いかけたときにはタブははるか遠くに行っていた


 「俺たちはゆっくり行こう・・・」

 「えぇ・・・」

 「あいつは戦力外確定だな・・・(ボリボリボリ)」

 俺たちはガスマスクを付けて森へと向かった




 「ふぅ・・・着いた着いた・・・」

 「えぇ・・・しかしこれ・・・かなり・・・息苦しいですね・・・」

 ネイが息を切らしながら言う

 「まぁ、仕方ないさこれでまともに戦えるって考えたら、マシだろ?」

 「そうですね・・・」


 


 「ヴォオオオオリャァァァァァァァアァァァァアアアア・・・・・!!!!」

 

 斬!

 (ドガーン!)


 「おっ、タブのやつってるみたいだな!」

 「あぁ、だけどあれは・・・」

 「えぇ・・・完全にだめですね・・・」



 タブは鼻水と涙を撒き散らしながら、あたりの木を手当たり次第に切っている


 「タブ!!それ以上の環境破壊はやめろ!!」


 「その声はカーフ!!来てくれたんだな?」

 「あぁ・・・だがお前が話しかけているのはモンスターだ!」

 「え?」

 タブがそういった瞬間モンスターが根を振る


 「危ない・・・・!!」

 俺はタブを弾き飛ばすがその時に攻撃が当たりガスマスクを破壊される


 「カーフ・・・!!」

 「大丈夫か!?(ボリボリ)」

 ネイとギースが俺のもとへかけてくる 


 「早くこのガスマスクを・・・・!!」

 「いや、それはタブにつけてくれ・・・」

 「でも!!」

 「それは元々タブのだろ?」

 「・・わかった・・・タブ・・・・・」

 ギースがタブにガスマスクを差し出す


 「ありヴァどう・・・」

 タブが顔から汁という汁をたらしながらガスマスクをつける

 

 「タブはジバらく休んでてくれ」

 「あぁ・・・すまん・・・」

 「いや、ここばでよぐ耐えでくれだここからゔぁおりぇたちの番だ・・・」

 「えぇ・・・タブはゆっくり休んでてください・・・」

 「後は僕たちに任せろ!」

 「皆・・・」



 

 「よじ!おゔぁえら!!今回でこいづどの戦いを終わらぜる・・・!!いぐぞ!!」


 「はい!!」「おう!」



 「いでよ!!炎の精・・・!!」

 「もっと熱くなれよぉぉぉ!」

 俺は炎の精を召喚する


 「よし、炎の精オデに力を!!」

 「熱くなれよぉぉぉぉぉぉ!!」

 炎の精の力を纏った俺は詠唱を開始する


 「詠唱の間の防御は私に任せて下さい!」 

 そう言うとネイが俺に結界を張る


 「陽動は僕がやるね!!」

 ギースが獣たちと一緒に相手を翻弄する


 

 「*`^”&’%”?>#”<7。・;:「@、。「@。。@!$%NM<T!$"%$>'E<MW$QNBA・・・・ゔぇくし!!」

 俺は詠唱途中でくしゃみをしてしまった

 「あ・・・」


 「「「え?」」」


 くしゃみで中途半端になった詠唱のお陰であり得ない威力の爆発が起こり、その場にいた全員が吹き飛ばされる


 







 「皆大丈夫か?」

 「「「なんとか・・・・」」」

 俺たちはあたりを見渡す



 辺り一帯は確かうっそうとした森林が続いてたのが、綺麗サッパリなくなっている


 「えぇ・・と・・・」

 「俺よりも環境破壊してどうすんだよ・・・」


 タブが俺の後ろで呆れた口調で言う


 「でゔぉ、ヴォンズターはやっだがらいいだろ?」

 「まぁ、確かにそうかも知れねぇが・・・ドロップ品もろとも吹き飛ばすなよ・・・」

 

 「それゔぁ・・・その・・・」

 俺が言い淀んでいると


 「まぁまぁ!!2人共・・・全員無事で済んだんですし!!」

 ネイが俺達の間に割り込み仲裁する


 「今から全体回復で皆様の傷を治しますね!!」

 

 ネイはそう言いながら杖を振りかざし回復魔法を唱えようとする


 「女神の加護のもとにこのもののきz・・・」

 そこまで言っていたネイであったが杖がガスマスクに当たりガスマスクが落ちる


 「「「あ・・・」」」

 ネイ以外の俺達3人がそう言って、ガスマスクを急いでつけようとしたときにはもう遅かった・・・



 「ゔぁっくしょい!!!ちくしょうコノヤロウbukkorositeyarrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrruyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy・・・・・・・・・・・!!!!!!!アッ・・・・・」


 その瞬間眼の前で激しい閃光が巻き起こり・・・・・・・・





 「おぉ・・・勇者たちよ・・・死んでしまうとは・・・・はぁ・・・・」

 司祭様がため息を吐き大きく息を吸うと


 「何回死ねば気が済むんだ!!!この大ボケナスクソファッキン花粉症勇者一行がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????????????????????????????????」



 今年108回目の司祭の怒鳴り声が静かな街に響き渡った



 この世界は花粉症で誤詠唱して死にまくる、勇者が守っている

 今日もどこかでくしゃみをして死にながら勇者は教会に戻るだろう


 だって勇者ご一行は花粉症なのだから



 

 

 


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