提灯の明かりと太鼓の音に包まれた盆踊り会場。その温かな描写が、やがて彼岸と此岸を結ぶ境界へと変わっていく流れが印象的でした。孫娘・美月と祖父の微笑ましいひとときが、翌日の真実とともに反転する瞬間はぞっとします。亡き家族との再会が“嬉しい”と“恐ろしい”の狭間で揺れるのは、日本の夏祭りに息づく民俗的な怖さそのもの。語り口は軽やかなのに、読み終えたあと背後に視線を感じるようなお話です。このレビューが、物語への第一歩となれたら幸いです。
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