『廃校が決まった母校の名前を、高校野球史に刻め!』レビュー
── ふざけてるのに泣ける、熱すぎる夏がここにある──
レビュアー:ひまえび
読んでいて、声を出して笑ったかと思えば、次の瞬間には胸がじんわり熱くなる。
この作品は、ただの「野球小説」ではありません。青春と友情と、ちょっとしたおふざけと、それでも確かに燃える“最後の夏”の物語です。
廃校が決まった母校の名前を、せめて歴史に残そうと立ち上がった高校球児たち。
ベタと言えばベタな設定かもしれませんが、それを真正面から、かつユーモアたっぷりに描いてくれる筆致に、つい読みながらニヤけてしまいました。
クスッと笑える台詞回し、思わずツッコミたくなる展開、けれど根底には常に「仲間」と「野球」と「母校」への本気の想いがある。
筆者である加藤佑一さんの、野球と物語に対する誠実さと勉強熱心な姿勢が、文章の行間からも滲み出ているように感じます。
個性的なキャラが織りなすやりとりも絶妙で、気がつけば彼らのことを「応援したい」と思っている自分がいました。
もったいなくてゆっくり読んでいたつもりが、気づけば一気読みしていた、そんな物語です。
最後の夏を、笑って、泣いて、全力で駆け抜けるこの物語。
青春の熱さを思い出したいすべての人におすすめです。