君はきっと、春を運ぶ妖精

石蕗

プロローグ

 小さい頃から人の色を見ることができた


 真面目でいつも熱心に質問に来てくれる彼は『赤』

 会うと必ず手を振って挨拶をしてくれる優しい彼は『黄緑』

 お姉ちゃん譲りのしっかり者で周りをよく見ている彼女は『青』


 今まで生きてきて、たくさんの色たちと出会ってきた


 その中でも忘れられない色が一つ

 それは、いつもニコニコと笑う優しい彼女にぴったりな温かい色



 少し昔話でもしよう

 今日は自然と頰が緩んでしまうくらい天気がいいから、そこのベンチに座って桜でも眺めながら……



 さて、それじゃあまずあの日のことから話そう、かな


 あの日もちょうど、今日のような暖かい春の日だった……

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